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熱莉安奈Ⅰ

本作品はカクヨムにも投稿しています。

「ケーキも食べ終わったし、アニメも見終わったし、私今日はもう帰るから」

「あ、うん。ありがとう、付き合ってくれて」


 私──熱莉ほとぼり安奈あんなは幼馴染のなばり千尋ちひろの家で夜ご飯を食べた後、いつもより遅い時間に彼の家をあとにした。

 理由は別れ際に言ったように、アニメを見てたから。


 私の家は千尋の家のすぐ隣。

 真っ暗な家の玄関を開けて、そのまま2階の部屋に。


「あれっ、通知来てる……」


 机に置こうとポケットからスマホを取り出すと、インステの通知が届いてた。

 気が散ると悪いかもなんて思って、通知をオフにしてたから気付いてなかったんだ。



花那『ちょっとー! ストーリーのあれ、駅前のカフェのじゃないの?』

花那『私の誘いは断ったくせに、なに美味しそうなケーキ食べてんのさー!』

花那『お小遣い厳しいんじゃなかったの?』

花那『誰と行ったの? 彼氏? ねぇ彼氏でしょ!』



 いいねはいろんな人から来てたけど、メッセージまで送って来てたのはクラスメイトの花那かなだった。

 

 千尋が買ってきてくれたケーキは、花那が教室で教えてくれたお店のものだ。

 そしてメッセージにある通り、花那の誘いを私は断っている。



安奈『駅前のカフェのケーキだけど、私が買ったわけじゃないから』

安奈『彼氏でもないからね』

花那『えー? じゃあ誰?』

花那『家族の人? でも安奈ってお父さんもお母さんもあんまり家に帰って来てないんでしょ?』



 どう誤魔化そう。

 友達──はよくないかな。

 追及されると面倒だし、花那の誘いを断って他の友達と行ったのって疑われるのも嫌だ。


「んー……」


 たまたまおじいちゃんがこっちの街に来てて、立ち寄ってくれた……これでいこう。

 いや、千尋はお爺ちゃんっていうよりは……。


安奈『おばあちゃんが来てくれたの。こっちに用があるとかで、そのついでに』

花那『えー? いーなー。美味しかった?』

安奈『すっごい美味しかった』

花那『今度絶対食べ行こ! 約束だかんね!』

安奈『はいはい』


 よかった、信じてくれたみたい。


「はぁー……」


 スマホをベッドに放り投げて、私もそのままダイブする。

 

「……ねむ」


 横になってすぐ、あっという間に眠くなってきた。

 このまま寝ちゃいたいけど、お風呂入んなきゃ。


 っていうかその前に、めんどくさいけどお風呂洗わなきゃ。


 いっそ夜ご飯食べた後、千尋の家でお風呂まで済ませちゃおうか。

 夜ご飯まで用意してもらってお風呂の用意もしてもらうのはさすがにダメかな。


 そもそも女子高生として、幼馴染とはいえ異性の同級生の家でお風呂に入るのはさすがに──。


「今度からそうしよっかな、ホントに」


 一緒に入るわけじゃないし、別にいいや。

 お風呂上りの姿なんて、千尋に見られたところで恥ずかしくないし。

 

 それこそ今日みたいに、またアニメを見てくれって頼まれたときに対価として要求してもいいと思う。

 またそんな機会があるかなんて分かんないけど、千尋のことだから、どうせなにか考えてるに違いない。


 そもそもアイツ、どうして急に私にアニメを見せようとしてきたんだろう。

 決して安くないケーキまで買ってきて。


「んー……」


 分かんないけど、今日見たやつみたいに面白いアニメだったら少しくらい見てあげてもいいかな。

美黎ちゃん回が続きましたが、今回久々の安奈ちゃん回、それも視点回です。

第5話の直後の話になるので、ちょっと時系列が前後してます。

次回も安奈ちゃん回になる……予定です!


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