先入観
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「あれ?」
予鈴が鳴った後、席に戻ると隣の高瀬さんがリュックの中身をガサガサと漁っていた。
それから急に立ち上がって廊下に行くと、苦い顔で戻ってくる。
そんな様子を見ていると、前の席に座る安奈が呆れた様子で振り返った。
「……なにやってんの?」
「教科書忘れた~。昨日課題やるのに持って帰って、そのまま置いてきちゃったみたい」
「別にいんじゃない? どうせ授業中寝てるでしょ、花那は」
「はい~? そんなことないですー、最近はちゃんと起きてます~」
軽口を叩き合っていると、斜め前の小堀くんも高瀬さんのほうに振り返る。
「お前、昨日も数学で寝て注意されてたろ」
「あれは数学が5時間目なのが悪くない?」
「体育以外なにが5時間目でも寝るだろお前は」
「はい~? そんなことないでーす。キミと一緒にしないでくださーい」
ふんってそっぽを向く高瀬さんは、それから僕を見て気まずそうに微笑んだ。
「ごめんねー隠くん。教科書見せてもらってもいい?」
「あ、うん」
「ありがとね~」
言いながら、高瀬さんは机を寄せてくる。
「別にくっつけなくてもいいんじゃ……」
「え~? だってこうしないと一緒に見れなくない?」
そうするのが普通でしょ、と言わんばかりに言い切って、高瀬さんは机をぴったりくっつけた。
その様子を見ていた小堀くんが、どこか呆れたように肩をすくめる。
「隠はお前が近いと教科書が見づらいから邪魔だって言ってんだよ。なぁ?」
「へっ?」
予想していなかった方向性の言葉が飛んできて、つい素っ頓狂な声を出してしまった。
「邪魔なんてまったく思ってないよ、僕は」
「そうだよ。小堀じゃあるまいし」
「おい隠。ソイツ邪魔くさいと思ったら引っぺがしていいぞ」
「隠くんはそんなことしないよーだ。ね、隠くん」
同意を求めているのかいないのか、僕をダシにしていながら僕の意見抜きで2人はあーだこーだと言い合っている。
どうしたものかと思っていると、一旦静観を決め込んでいた安奈が口を開いた。
「2人ともそのくらいにしときなよ。困ってそうだし」
「はいはい」
「はーい」
と、思ったよりあっさり2人は引っ込んだ。
ありがとう安奈。助け舟を出してくれて。
「ごめんねー。授業中は小堀も寝て静かになると思うから」
「いや寝るのはお前も一緒だろ。」
「寝ませんー。私、真面目なのー」
「どの口が言ってんだか」
訂正。別に2人とも引っ込んでなかった。
「あんたらさぁ……」
「遅れてすみません、ちょっとトラブルがありまして」
安奈が再び口をはさんだところで、数学の先生が教室に入ってくる。
それで2人とも一旦静かになって、僕はようやく一息ついた。
なんか、授業はまだなのにもうどっと疲れた気がする……。
──結局、授業が始まって少ししたらうとうとしだした高瀬さんは寝てしまい、それを見てほくそえんでいた小堀くんも最後のほうは寝てしまっていて、揃って先生に怒られていた。
明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
そして前回から2週間も空いてしまってすみません。ちょっとパソコンを買い替えたり公募の締め切りがギリギリだったりしたもので。
ここ数話あまりオタク要素の絡まない話になっていますが、次回からは久しぶりにタイトル通りの話が展開される……はずですので!




