プライド高きエリート戦士
巨漢の拳が風を裂く。
その衝撃だけで砂塵が爆ぜ、周囲の瓦礫が宙を舞った。
王子は両腕を交差させて受け止める。
青白いオーラが弾け、地面が抉れる。
「……ちっ、骨が折れるな」
笑みを保ちながらも、王子の呼吸はわずかに乱れていた。
仲間たちが計測器を構える。
「数値が……どんどん上がってる!」
表示された数値は常識を逸脱し、警告音が耳をつんざく。
その時、別の電子音が戦場を支配した。
複数の計測器が一斉に反応し、赤い点が高速で近づいてくるのを示す。
荒野を切り裂き、整然とした気配をまとった一団が現れた。
中央に立つのは、炎のように燃え盛るオーラを纏う若き将――
プライド高きエリート戦士。
「退け。こいつを倒すのは俺だ」
彼の声は鋭く、兵たちの計測器が即座に反応した。
表示された数値に、オレンたちは息を呑む。
「……王子より……高い!?」
エリート戦士は巨漢を一瞥し、冷笑した。
「こんな敗残兵ごときに苦戦するとはな。まったく見苦しい」
王子は汗を拭いもせず、肩で息をしながらも薄笑いを返す。
「ふん。横取り狙いか……貴様らしい」
二人のオーラが荒野を震わせ、計測器が悲鳴を上げる。
巨漢は黙して立ち、両の拳をゆっくり握りしめた。
彼にとっては、目の前にいるのが誰であろうと構わない。
ただ最強を叩き潰す――その欲望だけが、仮面の奥で燃えていた。