シオンとナギ 3
俺は仕事でほとんど家にいないのでナギはロックウッドの家に連れて行くことにした。
俺とナギがロックウッドの屋敷の敷地内に入るとサツキが門の前で待っていた。
ナギはサツキに駆け寄ろうとしたが俺と手を繋いでいたため俺が動かない以上それは叶わなかった。
サツキは繋がれてないナギの手を取ると「お帰り」とナギに言った。
ナギは「ただいま」と言い笑った。
一年後俺は離婚し、ロックウッドの当主、父を訪ねた。
ナギはサツキと出かけたらしく不在だった。
俺はナギと結婚するつもりだと久しぶりに会った父に告げた。
「そうか。お前が貰うか」
「ロックウッドの当主が私生児と結婚するわけにはいかないでしょう。俺が引き受けます。生まれの悪い女の腹から生まれた者同士丁度いいでしょう」
「本音は?」
「本音ですよ。他の家に渡すわけにもいかないでしょう。制御できるかもわからない。俺がちゃんと教育します」
「できるのか?」
「できますよ。必要でしょう?バハムート」
「本当にバハムートなんだな?」
「あの黒い炎は間違いないと思います」
「まあ駄目で元々だからな。好きにしなさい。体裁は整えてやる」
「そうしてください。サツキはミヤコと結婚させるんですか?」
「そのつもりだ」
「バハムートとアシュレイの家が手に入るわけですね」
「そう上手くいくかな」
「いきますよ」
「物事というのは決して自分の思い描いたとおりに行かないものだ。相手の有ることは特にな」
「そうですか」
「バハムートを手に入れられなくとも、お前は間違いなく史上最高だ」
「まだわかりませんよ」
「わかるさ。現時点でもうお前は私をとっくに超えている」
「わかりませんよ。物事は自分の思い通りにいかないのでしょう?」
「ああ、そうだな」