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魔法騎士の花嫁  作者: 青木りよこ
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テトラの追試 2

「これは、俺の話じゃないんだけど、恋心の自覚ってどうやってするもんですか?」


「自覚も何もわかるだろ。自分のことなんだから」


「嫌、だから、自分のことなのにわかってないんですよ。俺の友達の話なんですけどね」


サツキのことだと聞かなくてもわかるが俺は言わない。

シオンとは特別仲がいいわけではないが、まあそもそもあいつに特別仲がいい人間がいるのかも知らないが、どんな思惑があるにせよ、単純に結婚はめでたいと俺は思う。

あいつが一度結婚に失敗していて、あいつの元妻も同期で多少知っているから今度こそ上手くいってくれたらと思う、悪い奴ではないし。


まあ、はっきり言うと波風立てたくない。


サツキは可愛い教え子で勿論幸せを願っているが、同期というのはそれとは別枠で永遠に特別なものなのだ。



「俺の友達がどうも好きな子がいるみたいなんですよ。それこそ小さい時からずっと好きなんですよ。でも好きって自覚がないというか、なんかわかってないみたいなんですよね。でもどう見てもどう考えても誰が見ても聞いても好きなんですよ。めためた好きですよ、あいつ」


「そうか」


「だけど、その子はその、婚約者がいてもうすぐ結婚しちゃうんです。その、そいつもよく知ってる人と、てか、まあ身内、と」


「そうか、それは複雑だな」


「そうなんですよ。だから本当は自覚させるのは残酷なんじゃないかって思うんです。好きだと気づいてしまったら、速攻失恋確定なわけで。それだったら何も気づかないままこのままの方がいいのかなって」


「それはそうだろうな。人のもんに手を出しちゃいけないからな」


「でもあんだけ好きなんだから報われて欲しいって思うんですよ。だってずっと一途に好きなんですよ。顔がいいからめためたもてるのにずっと絶対叶わない不毛な恋をしてるんですよ。親友として何とかしてやりたいんですよ」


「先生はそのお前の気持ちだけで十分だと思うぞ」


「俺あいつどうにかなっちゃうんじゃないかなって思うんですよ」


「安心しろ。魔法庁に新人として配属されたら忙しすぎてそれどころじゃねぇから。最初の一年なんてあっという間だぞ。好きな子のことなんて考えてる暇もないからな。朝起きて顔洗って飯食って、仕事行って帰って体力回復のため寝る、そんな暮らしになるからな、心配しなくても大丈夫だと思うぞ」


「そうかなー。俺あいつ思い詰めるタイプだから、何つーか、心配なんですよね。死ぬんじゃないかなって」


「失恋で自殺かするってか?」


「嫌、そうじゃなくて、悪魔討伐に集中しすぎて、うっかり死んじゃうんじゃないかなって。あいつめためた強いし、図太いけど、どっか脆いし、考えてるようで何も考えてなさそうだし」



強くて、図太くて、脆くて、考えてるようで何も考えてない。

俺はその言葉の全てが当てはまる男を知っている。

あの兄弟は結局のところ、とてもよく似ているのだ。

欲してるものまで一緒だ。

でもそれはどちらかしか手に入らない。

そして俺はどこまでも同期びいきだ。

戦場を共にするとはそういうことなんだ。




「それなら新しい恋だな」
















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