テトラの追試
「先生、もうこのくらいで良くないですかねー?ねー?」
「いいわけないだろ。お前ね、追試だぞ、これ」
「悪魔討伐に数学必要ですかー?」
「必要に決まってんだろ、つーか、お前を落第させないためにやってんだぞ。サツキ達と一緒に卒業したいんだろ?ちゃんとやれ」
「今日、ナギのドレスの試着だったんですよ、結婚式の。あー、見たかった」
「あー、そうか。もうそろそろだもんな」
「結婚式と卒業式が被るんで、今日見せてもらう予定だったんですよー」
「花婿より先に見るってか」
「そうなんですよ。だって、ほら、シオンさん忙しいから。幼馴染の俺らがいってやらねぇと、ナギ母ちゃんいねぇし」
「まあな」
「先生同期なんでしょ?」
「まあな」
「シオンさんあんだけかっこいいとー、めためたもてたでしょ?」
「まあな、愛想ないけど、顔と家柄があれで、史上最高になるかもしれない男だからな、それはもーう、もてたよ」
「そうそう愛嬌なんていらないんですよねー、真に顔のいい男の前には愛想の良さなんて余りにも無力、ですよー」
「な、おい。ここ間違ってるぞ」
「あー。もう飽きましたよー」
「あのな、これはお前のためなんだぞ。魔法騎士は悪魔をただ討伐できりゃいいってもんじゃないぞ。ある程度社会常識も持ってないと、な。お前だって、魔法騎士として働き出したら後輩指導にいったりしなきゃならねぇんだぞ。そん時あんまり馬鹿だと困るだろうが。あと結婚して子供が大きくなったら宿題教えたりしなきゃならねぇんだぞ」
「俺は全面的に奥さんに任せますー」
「テトラ、奥さん任せは良くないぞ。絶対に良くない」
「先生って、恋愛結婚?」
「ああ」
「どうしてこの人が運命の人だってわかったの?」
「知るか、何だよ運命の人って、ロマンチストか」
「えー、聞きたいよー」
「教えたくないですよー]
「その人のこといつ好きってわかった?」
「そんなの最初からに決まってるだろ。タイプだったんだよ。顔がな、モロ好みだった。嫌、顔だけじゃねぇな。顔、スタイル、声、服の趣味、食い方、字、もうあらゆる構成要素、真っ直ぐど真ん中、ドンピシャリなの、絶対付き合いたいって思ったね。もう他の子なんて見えなかった」
「先生めためた語るじゃん」
「お前が聞いたんだろうが」