卒業式
あー、遂に何もしないまま卒業式が来てしまった。
サツキには結局何も言えていない。
ナギの結婚式ももう始まってしまう。
あー、どうしよう。
しかし、サツキ、お前、黒い騎士服めためた似合うのな。
やっぱり男は百九十ないと駄目だよな。
かっこいい、かっこよすぎる。
「お前、かっこいいねー」
「テトラ?」
「嫌、お前かっこいいわ。ホント。顔が良すぎる。お前書いた人天才だと思う」
「普通だろ」
「お前で普通なら、俺とかどうなっちゃうんだよ。まあいいや、緊張してる?」
「緊張?何で?」
「主席の挨拶」
「嫌、別に緊張してない」
「あっそ。なあ」
ナギのこともういいのか?
俺は聞けなかった。
いいわけがなかったからだ。
恐らくそう思う日は一生来ないに違いない。
子供の頃から大好きな女の子が自分以外の男と結婚してしまうなんて、いいわけないんだ、絶対。
まあ、でもこんなに背が高くてかっこよくて、頭も良くて、名門の家に生まれて、初恋くらい破れないと、早死にするかもしれないもんな。
そうだ、そうに決まってる。
ナギまで手に入れてしまったら、サツキもう何もいらなくなっちゃうもんな、十六歳でそれは不味いって。
そうだよ、腑抜けになるよ、きっと。
もう満たされすぎて働かなくなるかも、それは良くないって、王国の損失だ。
「魔法庁入ったら頑張って働こうな。サツキ」
「ああ」
「初めての給料もらったら美味いもん食いに行こうな、皆で」
「ああ」
その皆の中にもうナギはいない。
サツキも気づいているんだ。
「いいこと有るよな。きっと」
「ああ」
「めためた幸せになろうな、皆で」
「ああ」
幸せになる皆はナギも入ってるし、お前も入ってるよな。
そうだよな、サツキ。




