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影の盗賊(シャドウ・シーフ)  作者: A-LIGHT(I lie)


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第二部 第42話 試練の影

神殿を出たアルトとファントムの前に、砂漠の熱気を切り裂くかのような風が吹き抜けた。

「……この先、力を引き出すには試練が必要だ。」ファントムは低い声で告げる。


アルトは祭壇での光景を思い出しながら頷く。

「試練……つまり、この力を手にした者だけが進む道か。」


二人の足元に、薄く黒い影の渦が広がり始める。

「……これは?」アルトが立ち止まると、影は人型を帯び、砂上に浮かび上がった。


「ルナの力に触れた者は、己の心と向き合わされる。」ファントムの声は冷たくも静かで、鋭い。

影の人影はアルトをじっと見つめ、まるで彼の過去の断片を吸い出すかのように揺らぐ。


「……俺は……もう誰も信じられない……。」アルトの胸に、幼少期の孤独や、裏切られた仲間の顔が浮かぶ。

影はその記憶を映すかのように形を変え、彼の足元を包み込む。


ファントムは静かに横に立ち、声を掛ける。

「逃げても、避けても無駄よ。向き合うしかない。過去も恐怖も、すべて力に変えなければ。」


アルトは目を閉じ、ゆっくりと呼吸を整える。

『恐怖も、孤独も、すべて俺の力にする……俺の意思で、この先を切り開く。』


黒い影は彼の意思を感じ取り、徐々に形を崩し、砂となって消えていった。


ファントムは影を見やり、微かに唇を緩める。

「……悪くないわ。あなたの意思は強い。」


しかし砂漠の風がさらに強まり、地平線の向こうから新たな黒い影が立ち上がる。

「……次は私たち二人に試練を与える……」影は低くうなり、砂の渦に溶けていった。


アルトはファントムを見やる。

「……まだ終わらないな。」


ファントムは静かに頷き、砂漠の果てへと歩を進めた。

「……これが、ルナの涙の真の試練の始まりよ。」


二人の背中を、赤く染まる太陽が照らす。

試練の影は、まだ遠くで蠢いていた。

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