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影の盗賊(シャドウ・シーフ)  作者: A-LIGHT(I lie)


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第二部 第39話 影を裂く蒼

砂漠に立ち込める光と影の渦の中で、アルトの体から放たれる青い光が、空気を震わせた。

ヴェイルは懐から黒い小瓶を取り出す。中には、深紅に輝く液体――古代の呪具が封じられた「影の精」が揺れている。


「この力……ただの光ではないな。契約の証、ルナの涙か。」

ヴェイルは低く呟くと、力を集中させた槍で光の壁を打ち破ろうとする。しかし、アルトの手のひらから放たれる光はそれを軽々と弾き返す。


ファントムは砂塵の中で身を低くし、アルトの背後から冷静に指示を出す。

「アルト、力を乱さないで!ルナの涙の共鳴は、精神を侵食する可能性がある。焦るな!」


アルトは呼吸を整え、青い光を掌から膝まで集中させる。

「分かってる……でも、俺が止まらなきゃ、誰も止められないんだ!」


光の渦が砂漠の地面を引き裂き、空気は熱を帯びる。ヴェイルの槍がアルトの前に迫る瞬間、光の刃が渦となって槍を飲み込む。衝撃で砂嵐が一層強まり、遠くにある岩山の影が揺らめく。


「くっ……契約の力……!」

ヴェイルの声が砂嵐にかき消される。彼の体からも光が漏れ、まるで闇と契約した力が暴れ出しているようだった。


その瞬間、ファントムはアルトの肩に手を置く。

「……アルト、忘れないで。力だけじゃ勝てない。冷静さを失ったら、あなた自身が呑み込まれる。」


アルトは短く頷く。光の中で見えるのは、己の影と、過去の孤独、そして未来への希望。

「……俺は、俺自身の意思で、この力を使う!」


ルナの涙が発する光は、今やアルトと一体化し、青い炎の渦となってヴェイルを包み込む。

ヴェイルは必死に抵抗するも、光の渦は彼の闇を浄化するかのように強まる。


砂漠に轟く風と光の爆音の中、ファントムはその場に立ち尽くし、ただ静かに見守る。

「……アルト、やっとここまで来たのね。あなた自身の力で、世界を変える瞬間……」


光が収束した瞬間、ヴェイルの姿は消え去り、砂漠には静寂だけが残った。

アルトは呼吸を整え、手に残る青白い光を感じながら、静かに立っていた。

ファントムは一歩前に出て、彼の肩に手を置く。

「……あなた、本当に強くなった。だけど、これからが本当の戦いよ。」


アルトはゆっくりと頷き、蒼い光の余韻を背に砂漠の地平線を見つめる。

「……ああ、これからだ。俺たちはまだ、ルナの涙の真実にたどり着いていない。」


砂塵が収まり、朝陽が再び地平線から昇る。

青い光は静かに消え、しかしその力の余韻は、二人の胸に深く刻まれていた。

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