第二部 第37話 仮面の審判
砂漠の風が鋭く舞い、アルトたちの影を揺らす。
黒い影――ヴェイルは無言のまま、まるで空気そのものを切るようにアルトたちに近づく。
「……本当に、ただの人間か?」
セシリアが低く呟く。
ファントムは鋭く目を光らせ、闇の中で微かな手の動きを読み取った。
「……人間じゃない。何か……異質な力をまとっている。」
ヴェイルは一瞬の静止の後、掌から闇の槍を生み出した。
それはまるで夜空を裂く稲妻のように、砂を蹴散らしながら飛んでくる。
アルトは素早く身を翻し、欠片を握った手で槍を受け流す。
「なるほど、こいつ……ただの傭兵じゃないな。」
戦いは瞬く間に激化する。
ヴェイルの攻撃は鋭く、異次元の力を帯びている。
ファントムは影のように動き、アルトの背後をカバーする。
「アルト……貴方だけじゃ、間に合わない。」
アルトは頷き、欠片を胸に押し当てた。
「分かってる……力を引き出すしかない。」
その瞬間、ルナの涙の欠片が強く輝き、アルトの体を包む光の渦となった。
闇と光の間で、アルトの目に決意が宿る。
「……さあ、残火を見せてやる!」
ファントムは微かに笑みを浮かべ、冷静に観察する。
「……アルト、その力……ただの光じゃない。契約の力を使えるのね。」
ヴェイルは仮面の奥で微笑むように見えた。
「なるほど……選ばれし者よ、確かに力はある。だが試練はこれからだ。」
アルトの周囲に光の刃が展開し、砂漠に虹色の反射を描く。
闇と光が交錯する戦場で、三者の力がぶつかり合う――。




