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影の盗賊(シャドウ・シーフ)  作者: A-LIGHT(I lie)


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第二部 第34話 虚空を駆ける影

星々の契約を終えたその夜、アルトたちは崩れかけた遺跡の外へと出た。

月光が砂漠を青白く照らし、風はひどく冷たかった。


「アルト……」

セシリアが言葉を探すように口を開いた。

「あなた、本当に“契約の番人”になったのね。」


アルトは肩をすくめ、夜空を見上げる。

「肩書きなんてどうでもいいさ。ただ――選ばれた以上、背負うしかないだろ。」


その会話を遮るように、遠くの砂丘で黒い稲光が走った。

ファントムが目を細める。

「来たか……“虚空の影”が。」


砂を割って現れたのは、人型を模した黒の塊。

かつてオブシディアンから滲み出ていた“深淵の意志”の欠片だった。

契約が発動したことで、均衡を乱す存在として呼び寄せられたのだ。


「試練……ってわけね。」セシリアが短剣を握りしめる。


アルトは一歩前に出て、虚空の影と対峙した。

彼の胸の奥に宿るルナの涙が淡く光り、その光が夜空に道を描く。

「来い。未来を盗む怪盗に、勝てるもんならな。」


影が一斉に襲いかかる。

だがアルトの周囲に展開した青い光の環が、次元を裂くように敵の動きを逸らしていく。

まるで時空そのものを“盗み取る”ような力だった。


「これが……契約の力……!」

セシリアが目を見開く。


しかし、影は消えることなく次々と分裂し、砂漠を覆い尽くしていく。

ファントムが低くつぶやいた。

「虚空は止まらん……。アルト、お前が選ばねばならん。

 均衡を守るか、それとも影を飲み込むか。」


アルトは影の群れの中心に飛び込み、青い光を全身に纏った。

「選ぶまでもないさ。」


その瞬間、彼の姿が虚空の中に溶け込み、影ごと未来へと“盗み去った”。


夜空に残ったのは、風に舞う砂と、青い残光だけだった。


セシリアは呆然と立ち尽くす。

「アルト……どこへ?」


ファントムは静かに目を閉じた。

「虚空を駆けた。次の舞台へ――未来の、そのさらに先へ。」


そして、砂漠には再び沈黙が訪れた。

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