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影の盗賊(シャドウ・シーフ)  作者: A-LIGHT(I lie)


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第二部 第33話―星々の契約

戦いの余韻がまだ広間に漂っていた。

崩れた石柱の間に、仄かに青い光が揺らめく。

それは「ルナの涙」が放った最後の輝きだった。


セシリアは荒い息を整え、アルトに歩み寄る。

「……終わったの?」


アルトは掌を見つめた。そこには何もない。

けれど胸の奥には、確かな脈動が残っている。

「終わったというより、始まったんだろうな。」


その言葉に、ファントムが薄く笑った。

「“契約の証”はお前の中に宿った。

 次は――その使命を選ぶ番だ。」


すると突然、青い光が天井へと昇り、

広間全体に星空のような映像が映し出された。

そこには、無数の文明の姿と、契約を交わす人類の影があった。


低く響く声が広間に満ちる。

《契約は続いている。選ばれし者よ、均衡を守るか、それとも壊すか。》


セシリアは震える声で問いかけた。

「これが……『星々の契約』……?」


ファントムは頷く。

「そうだ。かつて人類は、異星の力を借りて宇宙の秩序を保つことを約束した。

 だが裏切った者が現れ、その代償が“深淵”だ。」


アルトは天井に浮かぶ星々を見上げ、口元を歪めた。

「均衡を守る怪盗、か……柄じゃないな。」


だが彼の胸の鼓動は否応なく答えを示していた。

ルナの涙は、彼を“番人”として選んでいる。


「お前ならできる。」ファントムが静かに言う。

「盗むだけでなく、未来を託すことも。」


しばしの沈黙の後、アルトは小さく笑った。

「なら、やるさ。ただし――怪盗らしくな。」


青い光は一層強まり、アルトの姿を包み込んだ。

星々の映像はやがて一点に収束し、彼の中へと吸い込まれていく。


《契約、承認。新たなる番人の名は――アルト。》


広間に再び静寂が訪れた時、そこに残されたのは仲間たちと、ひとつの未来への予感だった。


アルトは振り返り、仲間に向かって言った。

「さて……“盗むべき未来”を探しに行くか。」


――そして、新たな幕が上がろうとしていた。

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