7.天空のオルゴール ~2.音の迷宮~
翌晩、アルトは闇に紛れ、天空の塔の入り口へと足を踏み入れた。タイトな黒いスーツに身を包み、彼の動きは無音で滑らかだった。塔の入り口には最新鋭のセキュリティが設置されている。だが、アルトは懐から取り出した小型デバイスを操作し、一瞬で警報システムを無力化した。
「これが最先端のセキュリティか。少し拍子抜けだな。」
しかし、塔の内部に入るや否や、彼の表情は引き締まった。複雑な迷宮のように設計された通路は、暗号化されたドアや隠し通路が幾重にも配置されていた。さらに、その先には侵入者を感知して作動する無数のトラップが待ち構えている。
アルトが慎重に進む中、彼の通信機に予想外の声が飛び込んできた。
「アルト、聞こえるか?」
その声の主はアリス—塔の管理者である館長の娘だった。彼女は幼い頃から父親の仕事を手伝い、塔の構造やセキュリティについて深い知識を持っていた。
「どうして君がここに?」
「父が言っていたの。ヘルモイラが塔を狙っているって。そして…あなたのこともね。」
アリスは、ヘルモイラがオルゴールを手に入れた場合の危険性を理解していた。そのため、彼女はアルトに協力することを決意したのだった。