表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
影の盗賊(シャドウ・シーフ)  作者: A-LIGHT(I lie)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

54/354

54.第二部 第4話 ― 守護者の試練

石門の内側から現れた巨人は、無言のまま都市を揺らす一歩を踏み出した。

 黒い甲冑に覆われた体は、まるで古代の兵器そのもの。胸に埋め込まれた赤黒い結晶が脈打つたび、周囲の石壁がひび割れ、砂塵が舞った。


「来るぞ!」

 アルトは即座に飛び退き、セシリアを庇う。

 巨人の腕が振り下ろされ、石畳が砕け散った。


 ファントムは冷静にその動きを観察しながら、低く呟いた。

「やはりな。これはただの怪物じゃない。都市そのものが生み出した“守護者”……契約の意思だ。」


「倒せば通れるってわけじゃなさそうね。」

 セシリアは杖を構えながらも、相手を睨みつける。

 巨人は言葉を発しない。ただ、侵入者を排除するように、執拗に迫ってきた。


 アルトは一瞬考え、そして胸の結晶を握りしめた。

「……試練だって言ったな、ファントム。なら、必要なのは“力”じゃなく、“答え”かもしれない。」


 巨人の胸に埋め込まれた赤黒い結晶が光り、耳の奥に声が響いた。


——選ばれし者よ。

——力を求めるか、記録を継ぐか。


 アルトは息を整え、声を張った。

「俺は“力”なんていらない! 欲しいのは、真実と未来だ!」


 その瞬間、胸のルナの涙が共鳴し、青い光が溢れた。

 青白い輝きは巨人の赤黒い結晶を覆い、その動きを一瞬止めた。


「……効いてる!」セシリアが叫ぶ。


 だが、巨人はまだ完全には止まらない。

 ファントムが前に出て、アルトの言葉に続けるように声を放った。


「我らは契約を裏切らぬ。封じられた記録を知り、未来へと繋げるためにここへ来た!」


 その宣言と共に、都市全体が鳴動した。

 巨人の赤黒い結晶が砕け、身体が砂のように崩れ落ちていく。


 残されたのは、淡く輝く石片ひとつ。

 アルトが拾い上げると、それは声を宿していた。


——記録の回廊へ進む資格を認める。


 門が静かに開き直り、奥の階段が光に照らされた。

 都市の深部、眠れる記録へと続く道が現れたのだ。


アルトは結晶を見つめながら呟いた。

「……試されたのは、俺たちの“心”だったんだな。」


ファントムは短く頷き、階段を指し示す。

「行こう。答えは、まだその先にある。」


——そして三人は、いよいよ“記録の回廊”へと足を踏み入れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ