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影の盗賊(シャドウ・シーフ)  作者: A-LIGHT(I lie)


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50/350

50.世界を繋ぐもの―エピローグ 黎明の誓い

 戦いの余韻が去り、神殿には静かな風が吹き抜けていた。

 砕け散った瓦礫の隙間から差し込む陽光は、夜明けの象徴のように温かく、

 長き戦いを生き延びた者たちの肩を照らす。


 アルトは、オブシディアンと「ルナの涙」を掌に掲げて見つめた。

 黒と青、相反するはずの二つは、今や穏やかに共鳴している。


「……問いも答えも、もう“力”じゃない。

 これは未来を紡ぐための“糸”なんだな。」


 その呟きに、セシリアは微笑んだ。

「うん。ひとりで抱えるんじゃなくて……みんなで織っていくの。」


 ファントムも仮面を外し、久しく見せなかった素顔を明らかにする。

「俺もようやく……止まっていた時間を、前へ進められる気がする。」


 三人の間に流れる沈黙は、不安ではなく、確かな安堵に満ちていた。


 やがてアルトは立ち上がり、瓦礫の上に足をかける。

「ここからが本当の始まりだ。問いも答えも盗んだんだ。

 なら——その未来を、必ず守り抜く。」


 遠くで鳥の声が響き、風が空を渡っていく。


 その空の彼方には、まだ知らぬ脅威や、未だ解かれぬ秘密が眠っているのだろう。

 だが今のアルトには、共に歩む仲間と、紡がれる未来がある。


 彼は空を仰ぎ、言葉を刻むように静かに宣言した。


「怪盗アルトが盗むのは——絶望じゃない。

 人々の心に、希望だ。」


 夜明けの光が一層強く差し込み、彼らを照らし出した。

 その姿は、新しい物語の幕開けを告げる光景のようだった。

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