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影の盗賊(シャドウ・シーフ)  作者: A-LIGHT(I lie)


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48.世界を繋ぐもの― 第1話戦い

ヴェイルの言葉は、神殿の静寂を切り裂いた。

 アルトは拳を握りしめた。自分と同じ顔が、自分ではない存在としてそこに立っている。その事実は、息苦しいほどの現実感を伴っていた。


「……俺の“答え”が、お前だっていうのか?」

 アルトの問いに、ヴェイルは薄く笑った。


「そうだ。お前が《問い》を盗んだ瞬間、宇宙の均衡は歪んだ。世界は“答え”を欲した。そして生まれたのが私だ。」

 彼の背後で黒い影が渦を巻き、再びうごめく。だがその中心にあるのは、人の瞳のような光だった。


「お前は選び、奪い、未来を掴もうとした。

 私は——ただその結果を示す。

 未来を『定義』するのが、私の役割だ。」


 ファントムが一歩前に出た。

「定義するだと? 未来を決める権利は、誰か一人に委ねられるものじゃない。」


「違うな。」ヴェイルは冷たく首を振る。

「未来は“無数の可能性”ではなく、“ひとつの収束”に過ぎない。

 お前たちはまだ、問いに遊んでいるに過ぎん。」


 その声は、まるで深淵そのものの響きだった。


 アルトは沈黙した。だが心の奥底で、確かに何かが反応していた。

 ルナの涙が、手の中で小さく震え、彼の胸に問いを投げかけてくる。


『お前の“答え”は何だ?』


 セシリアが叫ぶ。

「アルト! 迷っちゃだめ!」


 だがアルトは目を閉じた。

 虚空で聞いた声、奪った“問い”、仲間の笑顔、過去の痛み。すべてが重なり合い、一つの想いを形作っていく。


 やがて彼は目を開いた。

 その瞳には、迷いではなく決意の光が宿っていた。


「ヴェイル……俺の“答え”は一つだ。

 未来は盗むものでも、与えられるものでもない。

 みんなと一緒に、奪い合って、守って、作るもんだ!」


 その瞬間、ルナの涙とオブシディアンが共鳴し、青と紫の光が融合した。

 神殿全体が震え、ヴェイルの影がたちまち崩れ始める。


「——ならば見せてもらおう。

 その“答え”が、果たして世界を繋ぐに足るものかどうかを!」


 ヴェイルの身体から、無数の影が放たれた。

 アルトはオブシディアンを構え、ファントムは短剣を握りしめ、セシリアは背後で光を紡ぐ。


 三人の視線が交わり、一つの合図で——戦いが始まった。

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