表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
影の盗賊(シャドウ・シーフ)  作者: A-LIGHT(I lie)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/354

38.塔の心臓― 第3話再び現れる黒い影

影は後退したものの、完全には消え去ってはいなかった。砂の粒子が微かに光を反射し、まるで影の残滓が空気の中に漂っているかのようだ。


アルトはルナの涙を握り締め、呼吸を整える。

「これ……一人じゃ到底扱えないな。」低く呟く声には、覚悟と緊張が混ざっていた。


ファントムは肩越しに砂漠の闇を見つめ、静かに言う。

「私たちだけじゃない……他にも、この力に反応する者がいるかもしれない。」

その言葉にセシリアも顔を曇らせる。

「そうか……つまり、影は私たちを試しているだけじゃないってこと?」


アルトはゆっくりと立ち上がり、前方の砂丘を見据える。

「うん……試練だ。でも、逃げるわけにはいかない。」


ファントムが静かにルナの涙を掲げる。青い光が夜の砂漠に反射し、二人の影を長く伸ばす。

「光がある限り、影は押し返せる。だが、油断すればすぐに飲み込まれるわ。」


砂漠の風が冷たく吹き付け、三人の髪や衣服を揺らす。夜明けはまだ遠く、影の存在感は濃い。だが、ルナの涙の光は確かに道を示していた。


アルトは拳を握り、深く息をつく。

「さあ、行こう。真実は、この先にある。」


ファントムも頷き、静かに砂丘を越える。

セシリアは二人の後に続き、三人の影が砂漠の夜に伸びていく。


――未知の試練と、ルナの涙の秘密を追い求める旅は、まだ始まったばかりだった。


砂丘を越えた先、視界が少しずつ開け、遠くに廃墟の街が現れた。かつて栄えた都市の面影はなく、石造りの建物は風と砂に侵食され、無言のまま時間を刻んでいた。


アルトは足を止め、周囲を見渡す。

「ここ……ただの廃墟じゃない。何か隠されている。」


ファントムは眉をひそめ、慎重に声を落とす。

「この場所は、ルナの涙と関係が深い。古代文明の名残……記録の一部が眠っている可能性があるわ。」


セシリアが一歩前に出て、砂を払いながら言った。

「つまり、ここで影の正体、そしてルナの涙の力の秘密に触れる……ってこと?」


アルトは頷き、拳に力を込める。

「間違いない。だが、安心できる場所じゃない。誰かが俺たちを待っているかもしれない。」


廃墟の中から、微かに低い唸り声のようなものが聞こえる。

ファントムの紫の瞳が光を反射し、影を捉える。

「来ている……何かが、この街を守っている。」


アルトはルナの涙をしっかり握り、心を決める。

「よし、行くぞ。進むしかない。」


三人は互いに視線を交わし、慎重に廃墟の街へと足を踏み入れた。

砂に覆われた街路、崩れかけた建物、そして遠くで光る青い輝き――ルナの涙が導く道は、まだ見えぬ試練への入口だった。


その瞬間、背後で砂が舞い上がり、黒い影が再び姿を現す。

冷たい風が吹き、影は三人を取り囲むように広がった。


アルトは低く息をつき、刃のような決意を込めて言った。

「……来い。」


夜明け前の廃墟に、再び影と光の戦いが幕を開ける。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ