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影の盗賊(シャドウ・シーフ)  作者: A-LIGHT(I lie)


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345/354

第204話 ## **粛清機構**

◆**兆候**


 最初は、不具合だった。


 信号が一秒ずれる。

 ブレーキの反応が鈍る。

 通信が、事故の直前だけ切れる。


 偶然にしては、都合が悪すぎる。


「……来てるな」


 男は、はっきり理解した。


 **未来が、抵抗を始めた。**


◆**世界の自己修復**


 ファントムは、地下のモニタールームで告げる。


「これは人為じゃない」


「世界そのもの?」


 ゆづきが問う。


「ええ。

 確率、選択、偶然――

 そういう“揺らぎ”を使った排除」


 一枚のグラフ。


 予見者の介入地点だけ、

 異様にノイズが増えている。


「彼が正確であるほど、

 世界は強く歪む」


◆**名前のある装置**


 ネットの奥底で、

 ある単語が見つかる。


> **Ω(オメガ)プロトコル**


 事故統計。

 都市設計。

 交通制御。


 すべてが、

 **“偏りを正す”ために連動している。**


◆**最初の犠牲**


 信者の一人。


 助かったはずの男が、

 今度は別の事故で死んだ。


 過去を上書きする形で。


「あれ……?」


 世界は、帳尻を合わせる。


◆**連鎖**


 救われた順に、

 “別の死”が訪れる。


 無理のない形で。

 自然な確率として。


 だが。


 生き残る者がいる。


 ――予見者の近くにいた者だけ。


◆**残酷な答え**


「……なるほど」


 男は、理解してしまう。


「守られてるのは、

 未来じゃない」


 彼自身だ。


「俺が起点だ」


◆**選択の歪み**


 信者たちは、気づき始める。


「……助けてもらったのに」


「結局、意味なかったんじゃ……」


 不安は、

 怒りに変わる。


◆**思想の変質**


「じゃあさ」


 誰かが言う。


「**予見者の近くにいれば、生き残るんだよね?**」


 群れが、彼に近づく。


 押し寄せる。


 囲う。


◆**警告**


 ゆづきが、男に言う。


「離れて」


「無理だ」


「それでも」


 男は、首を振る。


「俺が離れたら、

 彼らは即座に“回収”される」


 ――世界に。


◆**介入の限界**


 ファントムが歯噛みする。


「もう、語り手の範疇じゃない」


「なら」


 ゆづきは、まっすぐ言う。


「**物語を書き換える**」


◆**決断**


 男は、最後に問いかける。


「……俺を、消すか?」


 二人は、即答しない。


 沈黙。


 その間にも、

 世界は確率を積み上げていく。


◆**兆し**


 空に、異様な雲。


 都市全域への警報。


> 《不要不急の外出を控えてください》


 それは、

 人に向けた言葉じゃない。


 **点**に向けた通知。


◆**理解された役割**


 男は、静かに笑った。


「そっか」


「俺は――

 バグだ」


◆**次の選択肢**


 彼を消せば、群れは壊滅。

 守れば、都市が壊れる。


 世界は、すでに一つを選んでいる。

明日 年内ラスト更新

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