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影の盗賊(シャドウ・シーフ)  作者: A-LIGHT(I lie)


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343/359

第202話 **善意の代償**


◆**介入者の夜**


 雨の夜。


 交差点の街灯の下で、男は立っていた。


「……ここだな」


 見えている。


 トラック。

 スリップ。

 横断中の女性。


 ――死亡率、高。


 男は迷わない。


 指先で、未来に触れる。


「助ける」


 それだけ。


◆**書き換え**


 女性は、くしゃみをした。


 一瞬だけ歩みが遅れ、

 事故は起きなかった。


 トラックは信号を越え、

 何事もなく走り去る。


「よし」


 男は満足した。


 **未来は救われた。**


 ――彼は、そう思った。


◆**残された線**


 だが。


 救われなかった未来が、

 消えずに残っていた。


 女性は、家に帰る。


 テレビをつける。


 ニュース。


> 「深夜、高速道路で多重事故。

> 原因は、ブレーキ不良とみられ――」


 影像の中で、

 別の車が、潰れている。


 男の未来視が、遅れて追いつく。


「……あ?」


◆**連鎖**


 トラックは、別の場所で事故を起こしていた。


 彼が触れた結果、

 **重なっていた因果が、押し出された**。


 救った未来の重さが、

 どこかへ落ちた。


◆**観測不能**


 その瞬間。


 ゆづきは、息を詰まらせた。


「……来た」


「ええ」


 ファントムも、画面から目を離さない。


「因果が、“逃げた”」


◆**歪みの具現化**


 事故現場。


 本来、そこにいないはずの人物が倒れている。


 名前も、関係も、

 誰とも繋がっていない“穴”。


「……どうして、俺が……」


 青年は、意識を失う。


 世界は、説明できない犠牲を生んだ。


◆**気づき始める男**


 男は、頭を抱える。


「救ったはずだ……」


 未来を見る。


 だが、ノイズが混じる。


 救えた未来の先に、

 **自分が見えない。**


◆**語り手の限界**


「……見えない?」


 初めて、恐怖が滲む。


 管理したはずの未来が、

 自分の手を離れている。


◆**対峙**


 翌日。


 ゆづきは、男の前に立った。


「もう、起きてる」


「……何がだ」


「**あなたが救った未来の、反動**」


 男は、視線を逸らさない。


「助けた。それだけだ」


「いいえ」


 ゆづきは、静かに言う。


「**選んだ**の」


◆**崩れ始める正義**


 ファントムが、一歩前に出る。


「救えた数字だけ見て、

 落ちたものを数えてない」


「……だから何だ」


 男の声が、荒れる。


「見殺しにしろって言うのか」


◆**橋として**


「違う」


 ゆづきは、首を横に振る。


「**一緒に引き受ける**って言ってるの」


 一拍。


「あなた一人じゃ、もう無理」


◆**拒絶**


 男は、笑った。


「……弱いな」


 だが、その笑いは震えていた。


「俺は、止まらない」


 背を向ける。


「止まれば、

 今まで救った全部が、意味を失う」


◆**背中**


 去っていく背中。


 ゆづきは、追わない。


 ただ、言った。


「……壊れる前に、戻ってきて」


◆**記録される歪み**


 夜。


 代理人は、報告を見る。


「因果反動、顕在化」


 ため息。


「やはりな」


 だが――

 補正命令は、出さなかった。


◆**次の地平**


 ファントムが、低く言う。


「このままじゃ、

 彼は“救世主”になる」


「ええ」


 ゆづきは頷く。


「そして――

 **一番危険な存在に**」


 雨は止まない。


 善意は、武器になる。


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