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3.エメラルドの聖杯 ~1.伝説の遺産~

ファントムの言葉「そのダイヤモンドには、もっと大きな秘密が隠されているのよ。」が頭をよぎる。


彼女が言ったことは、単なる誘惑に過ぎないのか、それとも本当に何か大きな力が隠されているのか。アルトは自分でもその答えを出せずにいた。そんな静かな夜の空気の中、月明かりの差す静かな部屋で、アルトは新たな計画のために資料を調べていた。彼の手元には、古びた封筒があり、その中には暗号のような文面と、世界中の美術品や財宝を記録するカタログの切れ端が収められていた。その中でも彼の目を引いたのは、「エメラルドの聖杯」に関する記述だった。


「エメラルドの聖杯…時を操る力、か。」


伝説として語られていたその聖杯は、中世ヨーロッパの王族たちが争奪戦を繰り広げた末に行方をくらましたものだった。それが、今や世界的な犯罪組織—カーディナルによって秘密裏に保管されているという情報が入った。さらに、その聖杯が来週リヴェローナで開かれる闇オークションに出品されるというのだ。


「こんなものが世に出れば、ただの宝以上の混乱を引き起こすな…」


アルトはその存在に興味を惹かれつつも、慎重に考える。聖杯の本当の力が噂通りなら、それは人々を破滅に導く可能性を秘めていた。彼は、これを誰の手にも渡らないよう、自らの手で奪い取る決意をする。


アルトは行動を起こす前に、リヴェローナについての情報を集め始めた。この都市は歴史的な美しさで知られる一方、暗黒街の活動拠点としても悪名高かった。特にカーディナルはこの街を拠点にしており、どこもかしこも彼らの目が光っていると噂されている。だが、アルトにとってその程度の危険はいつものことだった。


準備を整えたアルトは、リヴェローナへと向かう列車に乗り込む。その途中、彼はカーディナルの手口や組織構造について再確認しながら、計画を練り直していた。今回の標的は、過去のどの仕事よりも困難を極めるだろう。だが、その挑戦こそがアルトの生きがいだった。


「エメラルドの聖杯…その謎、確かめてやる。」


列車の窓から差し込む陽光を背に、アルトは静かに微笑んだ。

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