表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
影の盗賊(シャドウ・シーフ)  作者: A-LIGHT(I lie)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/350

21.虚空の花園 ― 第1話 招かれざる花の宴

月がビルのガラスに滲む夜、都心の高層ビル屋上で「ノクティルカの夜」と題された秘密の花展が始まろうとしていた。一般公開はされず、招待状を持つ者のみが入場を許される。招待客の多くは名のある富豪や芸術家、そして──犯罪組織のブローカーたち。


この夜、アルトに密命を託したのは、元カーディナルの幹部で現在は消息を絶った科学者、神代レイだった。レイはかつて倫理審査を担当していたが、虚空の花の研究が兵器として転用されることを知り、内部告発を試みた結果、追われる身となった。


彼は、かつて恩を売った怪盗アルトに接触し、「虚空の花」を奪い去るという一世一代の依頼を託した。記憶を操る花が、再び人の心を壊す前に。


「頼れるのは、お前だけだ。あの花は、決して展示されてはならない。」


アルトは無言で依頼状を受け取り、懐へと収めた。


そして今、一人の招かれざる男が現れた。黒のスーツに身を包み、仮面の下から青い瞳を覗かせる青年。怪盗アルト。


展示の目玉は「虚空の花」。人工的に復元された、見る者の過去を呼び覚ますとされる伝説の花だった。その隣には銀製のオルゴールが置かれており、花の香りと音楽が共鳴することで幻覚作用を強めるという。


「記憶を操る芸術か。危うい香りがするな。」


アルトが静かに観察していると、周囲の空気が変わる。会場の一角に、真っ白なドレスと仮面をまとった女性──〈ラ・ブランシュ〉が現れた。彼女の動きには迷いがなく、展示に近づく目は鋭い。


だが、次の瞬間、オルゴールの音色が場内に響き渡った。微かに青く光る花の中心から、幻影があふれ出す。来場者たちは次々と立ち尽くし、過去の幻に囚われていく。


「これは…」


アルトはハンカチを鼻に当て、後退した。幻影の中心で、〈ラ・ブランシュ〉はただ一人、花に手を伸ばしていた。


「お前もそれを狙っているのか?」


問いに彼女は答えず、ただ静かに言った。


「この花が私を、妹の元へ導くはずなの。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ