表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
191/206

第49話「青い光の日常」

アルト、セシリア、ヴェイルの三人は、戦いの余韻を胸に抱きながらも、平穏な日々を取り戻していた。

 欠片の青い光は、胸元で静かに脈動し、時折微かな暖かさをもたらす。


 街の広場では、子どもたちが無邪気に走り回り、路地では市場の呼び声が響く。

 三人はそんな日常の風景を眺めながら歩いていた。


「……不思議ね。戦いの後なのに、世界は何も変わらない」

 セシリアがつぶやく。目の奥には、少しだけ切なさと安堵が混ざっていた。


「変わったのは、俺たちの心だけだ」

 アルトは微笑み、胸の欠片を軽く押す。

「以前なら、この光に圧倒されていたかもしれない。でも今は……力を制御できる」


 ヴェイルは両手をポケットに入れ、肩を揺らしながら笑った。

「俺たちが戦ったのは、ただ敵だけじゃなかった。自分自身の影と、未来への不安とも戦ったんだ」


 広場の一角で、小さな子どもが転んで泣いている。

 アルトは自然に駆け寄り、手を差し伸べる。

 欠片の光が微かに強まり、子どもの涙を拭う手元を優しく照らした。


「大丈夫だよ。ほら、立てる」

 子どもは笑顔を取り戻し、アルトに小さく頭を下げる。

 その姿に、アルトは胸の奥が温かくなるのを感じた。


「こういう瞬間を守るために……戦ったんだな」

 セシリアの声は静かだが、力強さを帯びていた。


「……そして、まだこれからも守り続ける」

 ヴェイルが二人に目を向け、ゆっくりと頷く。

 三人の心にある決意は、戦いの影を越えて、確かな光として根付いていた。


 夕暮れの空が街を柔らかく染める頃、三人は広場のベンチに座り、青い光を胸に感じながら穏やかな時を過ごした。

 戦いの傷は消えなくとも、欠片の力と絆が彼らを支え、未来を照らしている――そんな日常が、ゆっくりと流れていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ