第48話「欠片の余韻」
戦いが終わって数週間。
街には平穏が戻り、人々は日常の営みに忙しく動いていた。
アルトは小さな書店の前で立ち止まり、ふと笑みを漏らす。
欠片の光は胸で穏やかに脈動し、以前のような痛みはほとんどなくなっていた。
それは、彼の決意と共に成長し、制御された力となった証だった。
セシリアがアルトの隣に歩み寄る。
「久しぶりに、何もかもが静か……少し不思議な感じね」
アルトは小さく頷き、肩の力を抜く。
「平和というのは、こんなにも温かいものだったのか……」
ヴェイルも二人に合流する。
「俺たちの戦いは終わった。だけど、この街にはまだ守るべきものがある」
その言葉に、三人は自然と笑みを交わす。
街角には子どもたちの笑い声が響き、遠くには市場の活気が広がる。
ルナの涙の欠片は、もう戦いを象徴するものではなく、希望の光として彼らの胸で輝いていた。
アルトは深呼吸し、青い光を胸に感じながらつぶやいた。
「守るべきものを失わずにすんだ……これからは、この光と共に歩むだけだ」
セシリアが微笑みながら手を握る。
「あなたがいてくれる。それだけで、未来は変えられる」
ヴェイルも隣でうなずいた。
「さて……また日常を取り戻す旅の始まりだな」
三人は肩を並べ、街の中心へ歩き出す。
欠片の青い光が、彼らの背中をそっと照らしていた。
戦いの傷跡も、失った痛みも、すべてが静かに癒え、
新たな日常の中で希望として残っている。
そして、三人の絆は、確かなものとして、これからの未来を照らしていた。