第46話「余韻と新たな旅立ち」
戦いの痕跡が残る書庫の広間は、静けさに包まれていた。
瓦礫の山や崩れた棚の間を、三人はゆっくりと歩く。胸の奥にあった痛みも、今は穏やかな温もりに変わっていた。
セシリアは周囲を見渡し、息をつく。
「……本当に終わったのね」
その声には、喜びと安堵が混じっていた。
ヴェイルは双剣を背に収めながら、肩越しにアルトを見つめる。
「お前の決意と、俺たちの信念……それが一つになった瞬間だったな」
微笑みながら言うその目には、戦いの疲れと共に、確かな誇りが宿っていた。
アルトは胸元の欠片を見つめ、静かに微笑む。
「俺たちの力……仲間の力、そして信じる心が、すべてを変えたんだ」
深呼吸し、仲間たちに視線を向ける。
「さあ、戻ろう。まだ守るべき世界が待っている」
青白い光を放つ欠片は、三人の歩みに合わせて淡く脈打つ。
それは、単なる力の象徴ではなく、彼らの絆と希望の証だった。
三人は崩れた書庫を抜け、外の光の差し込む回廊へと歩みを進める。
そこには、長い試練の果てに得た安堵と、未来への期待が静かに満ちていた。
セシリアがアルトの肩に手を置き、微笑む。
「これからも……一緒に歩んでくれる?」
アルトは迷うことなく頷いた。
「もちろんだ。どんな困難があっても、俺たちは共に進む」
ヴェイルも二人の間に入り、力強く拳を握る。
「ならば、俺たち三人で、新たな未来を切り開こう」
光の中、三人の影が一つに重なり、蒼炎の欠片は柔らかく輝き続けた。
試練を超えた彼らの絆は、未来への扉を静かに、しかし確かに開いていく――。
やがて回廊の先に、青空と新しい世界が広がった。
戦いは終わりではなく、新たな物語の始まりであった。