第45話「最終決戦、蒼炎の絆」
巨大な影が三人の前に立ちはだかる。
赤黒い炎と青白い光が渦巻くその姿は、影を呼ぶ者の最終形態――異形の存在そのものだった。
「……これが……最後の試練か」
アルトは胸の欠片を握り、蒼炎の剣を構える。
セシリアは光の杖を掲げ、ヴェイルは炎の双剣に力を込めた。
影は低く唸り、黒い触手を無数に伸ばす。
その一つ一つが三人を包み込もうと襲いかかるが、三人は互いの動きを信じ、見事に回避する。
「アルト、今だ!」
セシリアの声に応え、アルトは剣に光と炎と祈りの力を注ぎ込む。
蒼炎はより鮮烈な輝きを帯び、触れたものすべてを焼き尽くす勢いだ。
ヴェイルも双剣を振り回し、赤黒い炎を影の最終形態に叩き込む。
三つの力が交差する一点に、影は激しく怯む。
『……なるほど、お前たちの絆は想像以上だ』
影の声は怒りと感嘆が入り混じる。
しかし、その目にはまだ完全な敗北の色はなかった。
アルトは深く息を吸い、欠片の光を最大に燃え上がらせる。
「俺たちは……守る! 代償を恐れず、仲間と未来を守る!」
胸の欠片が蒼炎の剣と共鳴し、光は三人を包む巨大な渦となって影に襲いかかった。
轟音が空間を裂き、影は叫びと共に崩れ落ちる。
光が消えた瞬間、闇は跡形もなく消え、街には静寂が戻った。
三人は地面に膝をつき、息を整える。
「……やったのか」
ヴェイルは汗だくで笑みを浮かべる。
「……終わった……のか?」
セシリアは杖を胸に当て、涙を浮かべながら頷く。
「欠片の力は、私たちを試しただけじゃない……信じる力を見せろと問うたのね」
アルトは剣を握りしめ、胸の欠片を見つめる。
「……ああ、俺たちは守り抜いた。代償もあったけど、後悔はない」
その時、胸の欠片が最後の光を放ち、三人の身体を柔らかく包む。
光が収まると、欠片は穏やかな輝きを宿し、もう二度と痛みを伴わないことを告げていた。
アルトは深呼吸し、仲間に視線を送る。
「さあ、帰ろう……みんなで、この世界に光を取り戻すんだ」
三人は互いに微笑みを交わし、手を取り合い、静かに歩き出した。
胸の欠片はその光を消さず、彼らの絆の証として輝き続けていた。