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第41話「帰還と新たなる決意」

青白い光が徐々に静まり、三人は元の書庫の空間に立っていた。

 胸の奥にはルナの涙の力が確かに宿り、欠片は以前よりも鮮やかに輝いている。


「……戻ったのか」

 アルトは深く息を吐き、胸の痛みを確かめながら剣を握り直した。

 欠片の脈動は依然としてあるが、今度は痛みと共に力強い安心感も伴っている。


 セシリアはそっとアルトの手を握り、微笑む。

「これで……すべての真実を知ったのね。怖かったけれど、私たちは進めた」


 ヴェイルは周囲を見渡し、鋭い視線を戻す。

「力を得たからには、ただ守るだけじゃなく、戦う責任も増えたってことだな」


 アルトは欠片を胸に抱え、決意を新たにした。

「そうだ。代償を受け入れた俺たちは、もう逃げられない。守るべきもの、守るべき人たちのために……全力を尽くす」


 三人は互いに視線を交わし、静かに頷く。

 それは、試練を経て得た絆と覚悟を確認する瞬間だった。


 書庫の奥から、再び微かな囁きが聞こえた。

『覚悟を示した者に祝福を――だが、闇は常に影として待ち構える』


 その声は恐怖ではなく、未来への警告だった。

 アルトは拳を握り、セシリアとヴェイルに向かって言った。

「どんな影が待ち受けていようと、俺たちは立ち向かう。力と代償を胸に――絶対に負けない」


 三人は書庫を後にし、石の回廊を通って外の光の世界へ歩み出す。

 空は深い青に染まり、夜明け前の静かな風が頬を撫でた。


 遠くに浮かぶ街の明かりを見つめながら、アルトは胸の欠片に手を添えた。

「これからが、本当の戦いだ――」


 セシリアは微笑み、そして言葉を添える。

「でも、私たちなら乗り越えられる」


 ヴェイルも静かにうなずく。

「信じる仲間と、力と覚悟があればな」


 三人は夜明けの光を背に、次なる冒険へと歩みを進める。

 試練を超え、代償を受け入れた勇者たち――その物語は、まだ終わらない。

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