第31話「守護者との最終決戦」
書庫に響く重い足音。
影の騎士が再び歩みを進めると、空気そのものが張り詰め、三人の胸を圧迫した。
「真実を知る資格……その絆が偽物でないか、試させてもらおう」
闇の大剣が掲げられ、黒い炎が刃を包む。
先ほどとは比べ物にならない力――本気を出したのだと誰もが悟った。
アルトは欠片に手を添え、深く息を吐く。
「もう迷わない。この力を暴走させずに使う……それが俺の答えだ」
ヴェイルは短く笑い、両手を広げた。
「なら、俺は道を切り開こう。炎も雷も、全てはお前の一撃のために」
セシリアは胸の前で祈りを結び、淡い光を仲間に降り注がせた。
「私は……あなたたちを支える。どんな闇にも負けない心を」
三人の声が重なった瞬間、青・紅・白の三つの光が交わり、書庫を満たす。
影の騎士が咆哮とともに突進した。
大剣が振り下ろされ、床が崩れる。
だがアルトは真正面から受け止めた。
「うおおおおッ!」
欠片の光が刃を包み、衝撃を相殺する。
その隙に、ヴェイルの雷撃が騎士の右腕を貫き、セシリアの光が鎧の闇を裂いた。
影の騎士は膝をつきながらも、なお立ち上がろうとする。
だが――アルトは一歩踏み込み、胸の欠片を輝かせた。
「俺たちの絆は、本物だ!」
青白い閃光が大剣を砕き、鎧を突き抜ける。
影の騎士は一瞬、静かに三人を見つめ――やがて霧のように溶けて消えた。
書庫に、静寂が戻る。
ただ石碑だけが淡く光り、次の道を示していた。
「……勝ったのか」
ヴェイルが肩で息をしながら呟く。
アルトは欠片を見下ろし、小さく頷いた。
「いや……これは始まりにすぎない。真実の扉は、まだ開かれていない」
セシリアは一歩進み、石碑を見上げた。
その光は、彼らに「さらなる深淵」への道を示していた。