第24話「欠片の力と新たな影」
三人は回廊を抜け、柔らかな青白い光に包まれた広間に辿り着いた。
そこは古代の遺跡のようで、壁や床には不思議な紋様が浮かんでいる。
欠片の光が触れるたび、紋様が淡く輝き、まるで呼吸しているかのように動く。
アルトは胸元の欠片に手を当て、集中する。
「この光……まだ半分も使いこなせていない」
痛みと力が交錯する感覚に眉を寄せるが、決して諦める様子はない。
セシリアは優しく声をかける。
「焦らなくていいわ、アルト。まずは感じることから始めて」
その言葉に、アルトの緊張が少し解け、光の欠片が微かに温かさを増す。
ヴェイルは広間を巡り、紋様に目を凝らす。
「ここには、欠片の力を試すための仕掛けがあるかもしれない」
床の紋様に触れると、光が反応して空中に小さな結晶が浮かび上がった。
「……試すしかないな」
アルトは深呼吸をして欠片の力を解放する。
光が彼の手から広がり、浮かんだ結晶に触れると、結晶はゆっくりと形を変え、完全な光の球体になった。
「成功……だと?」アルトは驚きと興奮を隠せない。
セシリアは微笑み、ヴェイルも静かに頷いた。
「少しずつ理解していけばいい。焦らず、力と共に歩むのよ」
だが、その瞬間、広間の奥から冷たい気配が漂った。
闇の中で、影のような存在がゆらりと姿を現す。
「……奴らも、欠片の力を狙っている」
アルトは光の球体を胸元に戻し、三人は互いに構える。
「来るなら来い……俺たちは三人で戦う」
セシリアとヴェイルも同時に前に踏み出し、影の接近に備えた。
広間の空気が張り詰め、欠片の光と影の暗黒がぶつかり合う瞬間――
新たな試練が、三人を待ち受けていた。