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第19話「影との邂逅」

回廊の奥から、不気味な静寂とともに黒い影が現れた。

その姿は人の形をしているが、光を吸い込むかのように暗く、輪郭が揺らいでいる。


アルトは胸元のルナの涙の欠片を握りしめ、戦意を固めた。

「来たか……」

セシリアも肩に手を置き、心の準備を整える。

「怖がらないで、アルト。私たちは一緒よ」

ヴェイルは剣を構え、静かに息を吐いた。

「力だけじゃなく、心も武器だ。覚悟を決めろ」


影は三人の前で立ち止まり、声なき声で問いかける。

「ルナの涙……欲しいか?」

その声は直接心に響き、恐怖と欲望を煽る。


アルトは一歩前に出る。

「欲しいものは守る力だ。お前の望みは俺の答えじゃない」

胸の奥で痛みが走る――失ったもの、守れなかったもの――

だが、それを力に変え、欠片が青白く光った。


光は影に吸い込まれそうになりながらも、アルトの意志で反発し、盾のように展開する。

「これが……俺たちの絆の力だ」


影はゆらりと身を揺らし、瞬間的に分身を作った。

分身は三方向から攻撃を仕掛け、三人を囲い込む。


ヴェイルは剣で斬り裂き、光の盾で守る。

セシリアは欠片の力を操作し、分身の動きを封じる。

アルトは心の中で過去の痛みを思い出す――セシリアの笑顔、ヴェイルの決意、幼い自分の恐怖。


その全てが結集し、光が一斉に爆発する。

分身は消え、影は本体の形をさらす。

「ほう……この力……興味深い」

影はわずかに笑い、三人を挑発する。


アルトは深く息を吸い、欠片の力をさらに引き出す。

「俺は、守る! 誰も、誰も失わせはしない!」

胸元の光が強く輝き、回廊全体を白銀に染める。


影は一瞬たじろぐ――だが、それはほんの僅かだった。

「……面白い。だが、まだ序章にすぎぬ」

その言葉とともに、影は闇の中に消え去る。


三人は互いに息を整え、胸の高鳴りを感じた。

「……奴は、次の試練を用意している」

ヴェイルが冷静に言い、セシリアが頷く。

アルトは欠片を握りしめ、決意を新たにした。

「どんな試練でも、俺たちは一緒に乗り越える」


光の欠片は静かに脈動し、これから待つ試練と未来への導きを示していた。

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