第18話「光の盾、影の刃」
回廊の中、青白い光が三人を包み込む。
カーディナルの二人は静かに距離を詰め、攻撃の機会を狙っている。
アルトは欠片を胸に押さえ、集中する。
「ルナの涙……力を貸せ」
欠片がわずかに震え、心の痛みや恐怖を吸い取るかのように胸に広がった。
ヴェイルが剣を振り、敵の一撃を受け止める。
「光が……防御になる!?」
青白い光が彼らを覆い、敵の刃を弾き返す。
セシリアも力を振り絞り、光の壁を強化する。
「アルト……信じて!」
欠片が共鳴し、回廊全体に波紋のような光が広がった。
しかし、敵はただの戦闘員ではない。
影のような速度で回避し、別方向から回り込もうとする。
「甘く見るな……力だけでは防げぬ」
アルトは深く息を吸い、欠片の力を前面に押し出す。
胸に刻まれた痛みや後悔、失う恐怖――それらを力に変え、光を刃のように操作する。
光が伸び、敵の動きを縛りつける。
ヴェイルはその隙に突進し、剣を振るう。
「ここが限界……でも、信じる心は切らせない!」
敵の一人が光の刃に捕らえられ、動きが鈍る。
セシリアは欠片の光を自らの手に集中させ、前方に放つ。
それは攻撃ではなく、心に呼びかける力――敵の心の闇を揺さぶる。
「あなたたち……何を守ろうとしている?」
一瞬の迷いが生まれる。
敵の瞳にわずかな戸惑いが走る。
その隙に、アルトは欠片を前に差し出す。
「もう迷わなくていい。守るべきものを思い出せ!」
青白い光が回廊全体を包み込み、敵の攻撃を完全に封じた。
「……これは……力……」
二人は息をつき、動けなくなる。
アルトは胸元の欠片を握りしめ、仲間を見やる。
「俺たちは……絶対に守る」
ヴェイルとセシリアも頷き、三人の絆は光となって回廊に輝いた。
しかし、勝利の余韻は長くは続かない。
背後の壁が揺れ、暗い影が新たに姿を現す――
ルナの涙を狙う真の敵の影。
三人は身構え、次なる試練に向けて心を引き締める。
「まだ……終わっていない……」