第17話「影を追う者たち」
祭壇の光が落ち着き、三人は互いの顔を見て安堵の息をついた。
しかし、その静寂は長くは続かなかった。
回廊の奥から、不意に冷たい風が吹き抜ける。
影のように黒い装束をまとった二人の人物が現れ、鋭い視線を三人に向けた。
「……やっと見つけたか」
低く響く声に、アルトは瞬時に警戒態勢を取る。
「誰だ……?」
「我らは“カーディナル”の者。ルナの涙を手に入れるためなら、手段は選ばぬ」
一人が言い放つと、もう一人が手元の装置を操作し、回廊の光を歪め始めた。
セシリアはアルトの腕を握り、背後に控える。
「アルト……戦うの?」
「避けられない……でも、俺たちなら……」
アルトは胸元の欠片に手を置き、決意を固める。
「三人で……守る!」
ヴェイルも剣の柄に手をかけ、敵に視線を注ぐ。
「狙われるのは必然だ。だが、俺たちは一歩も引かない」
敵は攻撃の構えを取り、ルナの涙の欠片に触れようと手を伸ばす。
その瞬間、欠片が青白く輝き、三人を包む光の壁が形成された。
「これは……!」
セシリアの瞳に光が反射する。
アルトは欠片の力を意識し、深く呼吸した。
「今こそ力を試す時……俺たちの絆で、絶対に守る!」
光の壁を前に、敵の動きが鈍る。
だが、二人は冷笑し、別の手段で突破を試みる。
「力だけでは奪えぬ……頭も使え」
三人は互いの目を見て、作戦を即座に組み立てた。
光の結晶の周囲で、アルトが前衛に立ち、セシリアとヴェイルがそれぞれの位置につく。
「行くぞ……!」
アルトの掛け声に応じて、三人の意志がひとつになった。
青白い光が再び脈動し、回廊全体に震えが走る。
そして、三人は立ち向かう――ルナの涙を巡る、新たな戦いが今、始まった。