表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
158/210

第16話「深淵の覚悟」

空間の歪みが最高潮に達し、三人の周囲には過去の後悔や恐怖の幻影が渦巻いた。

セシリアは目を見開き、胸を押さえる。

「これは……私の弱さ……」


アルトの前には、守れなかった人々の姿が現れ、痛ましい声が響いた。

「また、誰かを失うのか……?」

胸に突き刺さる感覚に、アルトの手は自然と欠片に伸びる。

「俺は……守る。もう二度と、誰も失わせはしない!」


ヴェイルもまた、自分の信念に疑念を抱かせる幻影に囲まれる。

「俺の選択は間違っていたのか……」

その声は心の奥にまで届く。だがヴェイルは深呼吸し、目の前の仲間を見た。

「違う。信じるものを裏切らない。それが俺の道だ」


三人の心が揺るぎなく結ばれると、ルナの涙の欠片が強く光り始めた。

光は渦となり、恐怖の幻影を巻き込み、消し去っていく。

「光……これが、力……」

アルトの瞳に確信が宿る。


その瞬間、影の声が響いた。

「なるほど……心は一つ。だが、試練はまだ終わらぬ」


光の中から、巨大な青白い結晶の影が浮かび上がる。

それはルナの涙の真の姿――原石の力を凝縮した存在だった。

「触れる者の意志を試す……最後の試練だ」


アルトは胸元の欠片を握りしめ、仲間の手を取り直す。

「俺たちは……恐怖に屈しない!一緒に進む!」

セシリアも、ヴェイルも力強く頷き、三人は結晶に向かって歩を進めた。


結晶が脈動する度に、光が三人の心の深淵に潜む恐怖を映し出す。

だが、今や彼らは恐怖を恐れず、仲間と共に立ち向かう意志に満ちていた。


「これが……真の力か……!」

アルトの声に応えるように、結晶は強烈な光を放ち、三人を包み込んだ。


その光の中で、三人は一瞬、無限の空間に漂うような感覚を覚えた。

恐怖も不安も痛みも、すべてが光に溶け、心に残ったのは確かな覚悟だけだった。


光が収まると、前方には静かに輝くルナの涙の結晶が浮かんでいた。

そして、三人は確信した――これから待ち受ける戦い、そして試練に立ち向かう力が、確かに手に入ったのだと。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ