第12話「欠片の覚醒と試練の核心」
黒衣の影の攻撃は激しさを増し、空間を切り裂く風が三人の髪を揺らした。
アルトは胸の欠片を強く握り、光を集中させる。
「この力……俺たちを守るためにあるんだ」
影の刃が迫るたび、青白い光が閃き、三人を包み込む。
しかし光だけでは完全には防ぎきれず、地面に衝撃が走る。
「まだ……力が足りない!」アルトの声が響く。
セシリアは欠片を凝視し、心を集中させる。
「あなたの意志と私の信念……重ねれば、光はもっと強くなるはず」
ヴェイルも鋭く分析し、攻撃の軌道を読み取りながら、光の力を補助する。
「隙を作る……今だ!」
三人の意志が一つに重なった瞬間、欠片の青白い光が爆発的に膨張した。
光は影を押し返し、空間全体を満たす。
「これが……俺たちの力!」
黒衣の影が後退し、初めて表情の一部が見えた。
冷たい瞳の奥に、不敵な笑みが浮かぶ。
「なるほど……予想以上の力だ。しかし、本当の試練はこれからだ」
アルトは光の力を胸に集中させ、欠片の脈動を感じる。
痛みと快感が交錯し、胸の奥で新たな力が芽生える感覚。
「くそ……これが代償の力か……でも、負けられない!」
セシリアはアルトの肩に手を置き、決意を伝える。
「怖くてもいい……一緒に乗り越えましょう」
ヴェイルも影の動きを封じるように集中する。
「俺たちは仲間だ。力を合わせるしかない」
三人の意志が一つになった瞬間、欠片の光はさらに強く輝き、周囲の闇を打ち消した。
光の波動が影を包み、黒衣の人物は一瞬、身を縮める。
「……まだだ、まだ終わらん……」
アルトは深く息を吸い、心の奥底で誓う。
「守る……俺たちを、そしてこの欠片を。どんな試練でも、絶対に乗り越える!」
光はより強く、より鮮烈に脈打ち、三人の心の結束を象徴するかのように輝き続けた。
試練はまだ序盤。だが、ルナの涙の欠片が示す真の力の片鱗を、三人は初めて体感したのだった。