13.終末のカリヨン ~2.闇の競争者~
アルトは、闇市で手に入れた情報を頼りに、目的の場所へと足を運んでいた。それは古い劇場跡地、今では廃墟となり、夜な夜な闇取引が行われる場だ。目的は、次なる手がかりとなるオブジェクト—"カルマの歯車"に関する情報だった。
「例の歯車に関する情報は間違いないのか?」
アルトは、信頼のおけない情報屋・マルセロと接触していた。目の前の男は小柄で、目つきだけは鋭い。
「もちろんだとも。ただし、話を聞く相手は少々クセが強いからな。」
マルセロが差し出した地図には、不自然なほど正確な位置が示されていた。目的地は劇場の地下倉庫。その奥に隠された密室に、アルトが探している情報があるらしい。
「ありがとうよ。」
アルトは地図を握りしめ、劇場跡地の中へと足を踏み入れた。
薄暗い廊下を慎重に進むアルト。天井からは古びたシャンデリアがかすかな音を立て、どこからか滴る水音が響く。進むにつれて、不自然な気配が背後に迫っていることに気づいた。
「やっぱり誰かいるな…」
アルトは足を止め、背後を振り返る。しかし、暗がりの中では何も確認できない。再び歩き出そうとしたその瞬間、鋭い声が響いた。
「そこまでだ、アルト。」
闇の中から現れたのは、アルトのかつての競争者であり、冷酷な盗賊団リーダー—ヴェロニカだった。彼女の赤い瞳が暗闇の中で光を放つ。
「ヴェロニカ、お前も例の歯車を狙っているのか。」
「当然よ。それだけじゃない。私にはもっと大きな計画がある。」
ヴェロニカは銀色のナイフを取り出し、不敵な笑みを浮かべた。
「でも、あなたにはもう関係のないこと。」
二人の間に緊張が走る。アルトは即座に戦闘態勢に入り、いつでも動けるよう準備を整えた。
アルトとヴェロニカは暗闇の劇場で激しい戦闘を繰り広げた。アルトは機敏な動きでヴェロニカの攻撃をかわしつつ、隙を見て反撃する。しかし、ヴェロニカの動きは予想以上に鋭く、幾度も追い詰められた。
「相変わらずしぶといわね、アルト。」
「お互い様だ。」
激しい攻防の末、アルトは天井に吊るされた古びたシャンデリアを利用し、ヴェロニカの動きを封じることに成功した。シャンデリアの崩壊によってヴェロニカの道を塞ぎ、彼女を一時的に追い払った。
ようやく劇場の地下倉庫へとたどり着いたアルト。そこには古びた金庫が置かれていた。鍵は見当たらないが、アルトは持ち前の知識と道具を駆使して金庫を開ける。
中から現れたのは、一冊の古びた手帳だった。手帳には"カルマの歯車"の設計図と、その力を利用する方法が記されていた。しかし、それと同時に、歯車を使うことのリスクについての警告もあった。
「やはりただの宝ではないか…。」
手帳を手に入れたアルトは、次なる行動を考え始める。しかし、その時背後から再びヴェロニカの声がした。
「全部手に入れたつもり?」
再戦の気配が漂う中、アルトは笑みを浮かべた。
「まだ終わりじゃないさ。」
アルトはヴェロニカの攻撃をかわし、劇場を脱出。新たな情報を手に、次なる目的地—"終末のカリヨン"が眠る地へと向かう。