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星の声

作者: 無川 凡二
掲載日:2026/10/21

浮かんで散った。まだ誰も目を開いたことがなかったころ。海の底から泡が生まれ、登った。空から光が差し、そして落ちた。追い回す影。大地は粘土のように動いた。火を吹き新たな島を作り、波に削られながら。風が雲を運ぶ。雨は陸に注がれて、流れゆく。世界。泡は浮かび、弾ける。呼吸のように、繰り返す。夜は落ちて、照らされる。瞬きのように、繰り返す。波のように、また。


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彼女が目を覚ますと。昨日までとは違う景色が広がっていた。窓の外に見える光の配置、星たちは知らない顔ぶればかりで、彼女は迷子になった子供のような感覚になる。

部屋ひとつぶんほどの大きさの宇宙船の中、長く寝過ごしたことに気付いた彼女は驚いて時間を見る。時計は彼女の時間が、予定よりも早く進んでいることを示していた。彼女は急いで操作卓に座り、手近な星たちに狙いを定める。

彼女の仕事は星の調査だ。たったひとりで星間飛行を続けて、星の情報を集め続けている。ひとつの星を調べたらそれを遠くへと通信し、また別の星を調べ始める。彼女はそれをずっと繰り返してきた。

狙いを定めた方向へスキャンをかける。漁師が網を投げるように宇宙船はソナーを放ち、その結果を集積して個々の星ごとにプロファイリングする。彼女にとって一番退屈な時間がそれだった。生まれた時から続けているその作業──と言ってもほとんどは宇宙船のシステム任せなのだが──は、ボタンを押して起きるかもわからないイレギュラーを待つだけの単調な時間だ。

そんな退屈を、彼女はある方法で紛らわせていた。スキャンした星の情報を、音に変換して聴くことだ。

どうしてそんな機能がこの宇宙船に備わっているのか彼女は知らなかったが、その機能を知ってから彼女は狂ったように星を調べるようになった。

今日もまた、新しい音を聴くために。刻まれた神経が求めるままに。


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最初の星の音は、砂嵐のようなノイズの中にチャイムが混ざるようだった。彼女は最初耳を塞ぐが、次第にその内部にあるリズムを体で理解し、耳を開いた。ノイズの中にも波があり、それを泳ぐように受け入れるとその途中でいくつかの空洞が通過してゆく。水晶の煌めきとそれを生み出しては壊してゆく唸り声、爆発的に生まれる風のような旋律が多次元的に入り乱れ、不協和音としてノイズの下に隠れている。

その音は、岩だけの何もない表面の上を舞うガスの嵐と惑星内部に眠る金属資源と化学反応を表していたが、彼女はそんなことは知らなかった。彼女はわずかな時間だけその音に耳を傾けたが、頭が痛くなってきたので再生を終える。

次の星の音は穏やかだった。透き通った汽笛のような音が一定の感覚で流れ続け、呼吸のように時間が流れている。鯨の声のように輪郭の不鮮明な音に包まれて、彼女はまるで全身が宇宙と一体になったような感覚を覚える。いっときの間彼女は全てを忘れてその音に身を委ねた。だがその星からはその音しか聞こえなかった。彼女はすぐに飽きて次の星を再生する。その星は大気だけは彼女が生活するのに足りている環境だったが、それ以外は本当に何もない不毛の地だったのだ。彼女はそれを知らないが、強く興味を抱くには至らなかった。


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彼女には好きな音と嫌いな音があった。そこから、好きな星と嫌いな星もあった。

例えば、赤く強い光を放つ星──恒星は駄目だ。一度その耳を劈く爆音を聴いてしまい、トラウマになって星の音を聴くのが怖くなったことがあったほどだ。だが、彼女はその嫌な星の近くには、良い音を奏でる星があるというジンクスも感じていた。彼女は、その星を星々の焼却炉──周りの星たちの悪い音を捨てる星だと思った。塵を集めるから、あれだけ強く燃えているのだ。

一方で、動きの少ない砂漠や岩だけの単調な星も好めなかった。音自体はさっきのように良いこともあったが、単調ですぐに飽きてしまう。変化がないならば、宇宙の景色と変わらない。暗闇の中に見える星々の点字を読めるほど彼女は感性豊かではなかったし、物語を重ねるような経験もなかった。ともかく単調な音に面白さを見出すことは難しかった。他に良い星があるのならそれを聴いた方が良いので、やはりどうでもいいと思ってしまう。

好きな星は大抵一眼でわかる。何かが違うのだ。複雑な環境が奇跡的に噛み合っており、流れが産む旋律がぶつからずに乗り合い、新たな旋律を生み出す、そんな有機的な音が聞こえるのだ。それは一定の周期性を保ちながらも少しずつ相を変えてゆき、螺旋のように過去と未来と繋がっている。彼女は少しでも多く、こんな星たちの音を聴きたいと思っているのだ。

この頃彼女は眠る時間が長くなった。眠っている間も船は宇宙を進み続ける。そうやって調べられなかった空白の中にいくつもの特別な星があったのかと考えると、彼女はとても辛い気持ちになる。

宇宙船の中で、他に音を聴いたことはない。彼女は、星々の音楽を聴くためだけに耳を使っていた。


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その星は遠目から見ても他と違うことがわかった。星の大部分は水で覆われ、陸は緑が茂っていた。近くにはあの赤い星があり、星の半分を照らしている。

彼女はひとめでそれを特別な星だと思い、聴いた。

──衝撃を受けた。聞こえた音楽は一つではなかった。繰り返しが輪であるのなら、それは幾つもの輪が歯車のように噛み合って重なっている。旋律同士が相互に干渉する。廻り、切り替わり、繰り返す。その中にわずかな新しい音が泡のように浮かんでは繋がって大きくなってゆく。それを彼女は離れた場所から聞いていたのだ。

その星は原初の生命たちが産声を上げたばかりのゆりかごだった。穏やかに、苔や細菌たちがまだ最初の陣取りを始めたばかりの。しかし恒星から与えられたエネルギーを循環する系は盤石に形作られており、時間が許せばより高度な生命が誕生するかもしれない下地が揃っていた。

もちろん彼女はそんなことは預かり知らぬが、その星は彼女が生まれてから初めて聴いた、生命の生まれた星だったのだ。彼女は自分以外の生命を見たことも聞いたこともなく、命というものがなんなのかも知らなかったが、泡のように生まれる音たちに、新たな希望を感じていた。聞こえるかもわからない小さな音の群れが、重なり、繋がり、共鳴し、広がり、聞こえる頃には一つの輪を描こうとしている。この星の音楽は変化する、この星は進化する、そう彼女には思えたのだ。

レコードを変えるように彼女は星の音を次々と聴き続けていたが、特別気に入った星の記録は船のメモリに保存していた。結局は次の星への期待に負けて二度と再生されることはないのだが、彼女はその中にこの星の声を大切にしまったのだ。

もう二度とここへは来ないとわかっていたが、叶うならこの星の未来の音楽を聴いてみたいと彼女は思った。


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衝撃と、規則的な音と光の点滅に彼女は起こされる。彼女は自分の耳が自分からする物音と星の音楽以外に晒されていることに強いストレスを覚えた。それは初めての体験だったが、彼女の遺伝子にはそれに対処する方法が確かに刻まれていたから、本能のままに彼女はサイレンを消した。

トラブルがあった時に頼る道具は一つしかなかった。彼女はそれをお守りのように手に持ち、音のする方へと近づいた。彼女の聴覚は本来、このように目に見えない部分の異常を伝える信号をキャッチするために存在するのだ。宇宙船の壁は外からの圧力によって凹んでおり、いくつかの回路が断線していた。彼女は専門知識はなかったが、異常がある箇所に道具を近づけると、自動的にそれは修復されてゆく。だがそれでもサイレンはなり続けた。それは嫌な星の音に似ていた。

宇宙船の外に出ると、見事にその箇所にデブリが突き刺さっているのを確認できた。幸いにもあまり大きくはなく、内部の破損も内側から大したことがないことがわかっているため彼女にも対処できる問題だった。彼女はその状態を、船が美しくない形に歪んでしまったと思い、直したいと感じる。

彼女は道具を使って、デブリを砕き始めた。真空空間では音が伝わらず、彼女はそれを不気味に感じる。後ろを見ると、たくさんの星が輝いている。それなのにここは静かで、彼女は気が狂いそうになる。彼女の音楽を好む性質は星の調査の促進に付けられたものだったが、このような状況で悪影響を働かせることは想定されていなかった。

彼女は叫んだが、真空空間では音が広がらず彼女の体内で振動するにとどまった。だが彼女はそれによって、自分の輪郭を確かめる術を覚えた。彼女は音を聴くことで少しだけ落ち着いて作業を続けることができた。

デブリを除き、凹んだ船体をなるべく元の流線形に戻した。船が流線型であるということは、この船は大気圏や水中など抵抗の多い環境を移動することも想定されているということだったが、彼女にはそんなことはわからない。彼女にとって船がその形であることが快いことであり、それ以外を考えるのは詮無いことだった。

彼女は船内に戻り、またいつものように星の声を聞き、長い眠りについた。


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彼女は長いこと眠りについていた気がした。目を広げると、また知らない星々に囲まれていることに気づいた。このところいつもそうだ。始まったばかりの頃は、一寝入りしてもまだ昨日見た星が背後に残っていたものだが、今では眠るたびに遠くに移動してしまう。

これを続けていると、星の調査は満遍なく行えず都合が悪い。彼女は自分という個体の限界が近いことを、わからないまでも薄々悟っていた。

生まれた場所に帰りたいと彼女は思った。それは船の一角にある、一つの炉だった。それは彼女を分解して再構築するコンポストだ。個体としての彼女は死ぬが、彼女の素材を再利用した記憶以外全く同じ彼女が生まれてくる。そうやって彼女も誕生した。彼女はこの調査船の生態部品なのだ。

彼女の遺伝子は自分の役目の終え方を知っていたが、その意味までは彼女に教えることはなかった。彼女はただ、多くの星の音を聞けないことへの焦燥感で、自らを次の彼女のために焚べに行くのだ。

彼女は炉の前に立つと、少しだけ戸惑いを見せた。恐れだ。最低限に設定された恐れが、彼女という個体の終わりを彼女に警告しているのだ。それに嫌な星のような音は聞こえなかったが、彼女は苦し紛れにあの気に入った星の音楽を流すことで心を誤魔化そうとする。

彼女の愛した音楽が流れながら、自らを殺す棺に彼女は収まる。まるで葬式のような光景だった。


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しかし、いつまで待っても炉が動き出すことはなかった。

彼女は、何もわからずに棺桶から這い出ることになる。彼女の本能は何も語らない。何も浮かんでは来ないが、ただただ悲しいということだけが彼女の感じたことだった。生命に与えられた役目が果たせないことに対する本能的な悲しみだ。

素材には生命を構成できる鮮度があり、著しく劣化した素材を炉は拒絶するように作られていたのだ。彼女は既に再構成され過ぎており、この宇宙船が飛び立った頃の彼女に比べて大きく素材が劣化していた。干からびかけの粘土のように、彼女が最後の作品、最後の個体になるのだった。

彼女は嘆いた。デブリを排除しに宇宙に出たときぶりに声を出した。それは空気に響いて彼女を驚かす。その機能はただ、彼女の元となった生物についていたものが残っているだけの痕跡器官だったが、除くことのコストが見合わないということで放置されたものだった。彼女は悲嘆に暮れて声を上げることで、少しだけ落ち着いた。あまり心地の良い音ではなかったが、悪い音を捨てられたのだと思った。

彼女はその後も星の調査を続けたが、次第に彼女以外の部品もガタが来て船自体の機能が停止することが多くなってきた。星をスキャンしても音に変換されることがないときや、レポート自体が作られないこともあった。彼女が眠る時間も恐ろしく長くなり、彼女に残された時間があとわずかだということを彼女自身が理解し始めた。

眠る時間が長くなれば最終的にその時間は無限になり永遠に目覚めないという、合っているのか間違っているのかもわからない抽象的なイメージだったが、彼女は既に役目を降りて死出の旅に出ていることを理解していた。

彼女は船をあの星に向けた。老いた彼女は、もう一度あの若い星の声を聞きたいと思った。

船は彼女に残されたわずかな時間で、前へ、前へ。


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枯れた木は崩れて土に、自らの命だったものを溶かしてゆく。そこから新たな芽が生まれ、光を求めて葉を広げ、命を繋ぐために花を咲かせる。動物たちはそれを踏み躙り噛み千切り今日の命を繋ぎながら、また別の動物に捕食され、命だったものを奪われる。そしてそれらも時間によって死に、土へと還ってゆく。

目を覚ました彼女は、丁度あの星を目にした。間違いない。随分と変わってしまったが、それはあの時見た星だった。彼女はソナーを向けた。星からの返事が、返ってくる。

繰り返した。命は誕生と死を迎え続け、遺伝子の奥深くに記憶を刻み込んだ。老木は今にも倒れようとするそのときに、自らの細胞を引き裂かれながら音を響かせた。命はそれを聞いていた。聞いて、確かめて、自らが命を絶たれようとしている最中に、自らの中で最も大きな音を出せる部分を用いて、悲鳴を上げた。信号は命の中を駆け巡る。それは何かを伝えようとしている。命はその度に学びながら、声は言葉に育っていった。

ぶつかって弾けた。繋がりを駆け巡る中で、それはかたちを変えながら広がった。誰かが水面に石を投げた。広がる飛沫と波紋は影のように、誰かの鏡面に伝播した。合図を示すと意志たちは、それぞれの約束を思い出して語る。漣が姿を変えて反射する。どこかでは反発し、またどこかでは共鳴し、波濤の上を小さな波が伝っている。意図が生まれる。向きが連なる。何者かが青図を外へと羽化させようと講じると、また別の何者かがそれを遮った。もし背中を押され大海原へと飛び立ったのなら、それは地平線から世界を塗り替えたかもしれない。

人を渡り、意味を育てて、言葉は世界を塗りつぶす。記憶を固め、現実を作り、目に移った世界の写しを作る。心の目に映る世界も、その射程には含まれていた。行動に収まらない溢れたこころたちを、誰かが言葉の船に乗せた。悲しみを、怒りを、消えてゆくだけの感傷が世界に爪痕を残そうとする。喜びを、幸せを、忘れたくない想いを生かそうとする。叫びに思いが乗り、言葉に呼吸が乗り、抑揚は音階を作り、繋がって、溢れて、捨てられて、弾けて、こころは心の中を渡り、歌となった。

彼女はそれを聞いた。星の数ほどもある声の波に押し流され、すぐに我を失った。星の音楽と言うにはあまりにも情報量の多いその濁流の中で、彼女は何も分からなくなった。分からないことも分からないまま、隣り合う一つ一つのメロディが彼女に訴えかける。陽を浴びた植物の喜び。子に喰われる親蜘蛛の愛。処刑人の慈悲。干からびた貝の苦しみ。獲物を狩った獣の快。死の病を克服した少年の安堵。復讐を誓う怒り。老いて死ぬものの諦観。その一つ一つが彼女を揺らす。

それは彼女が望んでいたあの星の声ではなかったが、彼女はその音に静かに寄り添った。

伸ばした枝葉を折られながら、命は選ぶために心を育てた。それは彼女の心の基礎となった部分もそうだった。今の彼女の心はそのためのものではなかったが、それは彼女のかたちのなかに噛み合いこころを動かした。

溢れたこころを、彼女は声にした。息の続く限りの音を鳴らし、ときには濁流の中のひとひらを拾い上げて応えるように。不協和音の中に声を投げかけると、和音と共鳴が耳に残る。それは彼女が良いと思った音だった。

彼女は星と歌っていた。

彼女は、それがなんなのかは知らなかったが、自然とそうした。


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その日のニュースは、昨晩の流星の話で持ちきりだった。それは宇宙のはるか遠くから真っ直ぐに地球へと向かってきて、大気圏で燃え尽きた。専門家が言うには自然物とは思えない速さだったそうだが、そんなことは僕の知ることではなかった。そんなことよりも驚くことがあったのだ。

僕は昨日の丁度その時、宇宙の電波を受信しようとアンテナを立てていた。当たり前だが一介の学生に宇宙からの通信をキャッチできるなんてことはない。いつも空を見上げながら考え事をして一日を終える。子供の頃に望遠鏡を買ってもらったときからの儀式のような習慣だ。

だが昨日は違った。ひときわ煌めく一つの星と共に、スピーカーから音が流れたのだ。

それは最初は不協和音のように聞こえた。しかし、よく聴くとそれは複雑な周期性を持っているベースとそれをならすフレーズ──歌で形成されているように聞こえたのだ。

声は精一杯にそのベースに応えようと歌って、その音をメロディに昇華させようとしているようだった。対話。それを続けて聞いていると、その不条理だったリズムはいつのまにか自分にも感じられる周期性を持っているのだと思えた。

それが何故声だと思ったのかは分からない。音としてはさておきベースは自然のような均衡を持っていた。だが、僕が声だと判断した音はそこから少しズレたところにあって、他の影響を受けながらも、何を受け取るのか選びながら、何かを伝えようとしているように聞こえたからかもしれない。命というものは自然のものだが、それが為す振る舞いには不自然なものが多く含まれる。それが自然の試練によって試され、淘汰されたり自然を変えたりしてきたのだ。そんな、僕らと同じ命のような叫びがそこにあった。僕はそう思った。

音と声があるならそれは歌だ。一生とは、自らの楽器を自然の音にぶつけて旋律を作り出すことに似ていた。

宇宙人に音や声の概念があるのかは定かではなかった。しかし物理法則的に光は音を殆ど出さないし、音は光にはならない。熱も強ければ音や光を出すが、小さければそうではない。それぞれが適切な形で、宇宙を、波を因子分解しているように思えるのだ。きっと地球の外にも、僕らと似た部分を持っている命がある。

だからこの歌が僕の耳に届いたことにも、何か特別な背景があるような気がした。

僕は応答するようにあのとき聞いた宇宙の歌を口ずさむ。

メロディは口にすると泡のように消えていった。僕はなんだか、宇宙とセッションをしているような気分になった。

彼は自分が聞いたものがなんだったのか知らなかったが、自然とそう思った。

星は回る。いのちのように、繰り返す。かたちは渡る。ことばのように、繰り返す。

星は唄う。ひとは唄う。また、次のメロディが続いている。


2024/09/25

テーマは歌。

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