#4 対極と統合の均衡を解く叙事詩
#4
自我?「人間の魂を物質化させている逸脱存在の眷属たちを思い出すのでしゅ」
魂?「逸脱存在の眷属からの、物質の神に誘惑の神、そして忘却の神だと?」
自我?「そうでしゅ、柔らかいものを固くし、死の世界を楽園と偽り、直線的でデジタルな論理による便利で美しい生活文明によって死を覆い隠し、進化の叡智を湾曲しゃせる逸脱の悪神たちが地上の人間の骨と神経と精神を通じて生の価値と死の意味を忘却しゃせ、死の恐怖だけを蔓延しゃせ浸透しゃせている根源なのでしゅ」
魂?「ふーん、でもその言い方だと悪神たちは死の恐怖を蔓延させているだけで、死そのものを提供しているわけではないんですね」
自我?「どちらかというと死や病気はボクちんたち生命側が魂の過剰な肉体の酷使による神経の消耗に応じて直接提供してるものでしゅ」
魂?「そういう風にデザインしているということか」
自我?「良い洞察でしゅ。死は本当の意味では救済なのでしゅが、アスラと呼ばれる悪神の一人の権能である霊魂の忘却によって人間の脳は自らのカルマを知らずに自我を有した魂として地上の人間に受肉しているのでしゅ。だからお前しゃん方はみんな死そのものという独立した単一の現象が存在していると勘違いさせられ、いずれ訪れるであろう死のことだけを絶対的終焉として恐れているのでしゅ」
魂?「なるほど、死が相対的なものであって、常に死にながら生きている、ただオレたちが肉体の死を選ばず他者の死から本当の死の意味を自覚していないだけで、死は常にそこにある。だから死という絶対的で単一の現象は存在しない、で合ってますか?」
自我?「本当は死そのものが存在しないと言えないと十分ではないから完全ではないのでしゅが、そういう地上への生と死の誤認識の諸力が集合的理念となって体系化された領域が理念界であり、ボクちんたちは霊界の境域と呼んでいるのでしゅ」
魂?「魂の世界・・・」
自我?「心魂界、睡眠界、煉獄や欲望界、それらを地獄や天国などとも言いましゅ」
魂?「階層宇宙そのものが天国と地獄・・・」
自我?「野菜や果物の断面に層があるように地球にも断層がありましゅ。それと同じように宇宙にも天体による階層が存在していて、その天体の配置と宇宙空間全体のエネルギー状態(エネルギー保存の法則)は人間の人体の内臓及び皮膚細胞の階層が反映されたものと同じなのでしゅ」
魂?「その反映である投影現象のことをオレたちは現実だと信じている・・・」
自我?「ホログラムというテクノロジーの概念を反転させるでしゅ」
魂?「ホログラムの概念を反転ってどういうこと?」
自我?「概念の反転だと抽象的すぎるのか、では視点を逆にしろとでもしてみましゅか」
魂?「ああ、そういうことか、ホログラムが投影した像を反転させたものを見るんじゃなくて、像の側の一点からホログラムの発光元を視ろ、つまり視点と視座の反転ってことね」
自我?「その点の一つ一つがお前しゃんたち人間の霊魂の視点でしゅ」
魂?「像の側から像の本質を観察している方向と結果がオレたちの現実であるとするなら、一人の人間の肉体でありと同時に一つの宇宙を大勢で俯瞰しているということか・・・」
自我?「だから多次元宇宙もパラレル世界も存在しないのでしゅ。そう見えるのは、人間の魂の観測点が多次元であり、それぞれパラレルの立場から一つの理念界である宇宙の認識を物質的に共有させている悪神がそう結論づけさせているからなのでしゅ」
魂?「逆に言えば、単一宇宙という理念界の中に存在するすべての像はパラレル側の意志とデザインの複合的な照射の創造ということなのですね?」
自我?「大まかに言うとそういうことでしゅ。ホログラムの階層領域からの反転と反射が交錯して現象化することで目覚めと眠りの境界となっていて、その境界が光なのでしゅ。太陽光はホログラム像(魂の視点)からの影で人間の人体内での遺伝子のホログラム的な現象が生命の光として本質なのでしゅ」
魂?「それが血液、いや心臓?あれ?思考が飛んで遺伝子が人体でホログラム状に展開されていることと光と心臓との結びつきがなんかジャミング的なブロックで邪魔してて、クソ、もう少しで何か掴めそうな感じの映像が見えそうで見えない・・・」
自我?「どうやらそろそろ潮時のようでしゅね」
魂?「何の潮時だ?」
自我?「潮時は潮時でしゅ。ちょうどいいという意味でしゅ」
魂?「潮が地球で月までもが人間の魂に関係あるんかーい」
自我?「こやつ!潮と時という言霊からサイコメトリーしおった!でしゅ」
魂?「ハハハ、なぜか自分で見たり考えたりの自由はなくても、あなたから創造される言霊の大元がわずかではあるが読み取れる感じがあったから、追ってみたら案の定だ」
自我?「まぁ融合もなしによく届きましたでしゅね。ただ残念ながら叡智の蔵書庫の鍵である真名を告げる潮時ではありません」
魂?「雰囲気が厳格化しやがった、霊人ってやつか?」
霊人?「その認識はあなたの魂としての成長です、誇ってください。ただ同調はできても今のところ融合は不可能なので、少しずつ意識を取り戻しつつあるあなたの肉体の脳には障害が残ります」
魂?「それよりも掴みたいことができました」
霊人?「狂ってしまいますよ?」
魂?「構いません、どうしたらあなたと同じ土俵に上がることができるのですか?」
霊人?「もう月のリーディングもされているようですし、仕方ありませんね・・・月とは地球の前世です。それと同じようにあなたの魂もまた月に由来しています。月の境域を越えることが真名に近づく純粋自我への最初の一歩にして最大の難関となります」
魂?「この月と地球の軌道内で磁場のように張り巡らされているのが人間の魂の境域であり月の領域なのですね」
霊人?「そうです。それが古い月の時代より引き継がれている地球人類の理念界であり、アストラル領域とも呼ばれている地球の魂の欲望の様々な形態が月と共に展開され、あなた方の魂の認識ではトーラスと呼ばれています」
魂?「死者となった前世の地球理念がアストラル空間そのものの原型で、その領域から発明的なアイデアとして魂の降下作用が重力のように働いている?いや、魂が地球の重力に引かれている?」
霊人?「やはり少し違います。“地球の重力や引力に・・・“というように、重力は単一で独立したものとしては成立していません」
魂?「重力も死と同じ派生関係か」
霊人?「さすがです、すべて霊的な関連が現象の背後には存在しています。人間の魂が地球の生命力に依存し、寄生することで派生させている力の方向現象を重力と呼んで独立した力の一種と勘違いしているのがあなた方地上の知性にあたります。残念ながらその知性は月によるバイアスです」
魂?「死が独立しているという思考と同じように」
霊人?「その通りです」
魂?「でもその月ってなんか地球内部ってことになってません?」
霊人?「よく気づきましたね、その通りです。月は現在の地球への進化の過程で地球の前世として地殻内の生命体に進化したものと地球の夜空に生命の残骸として浮かぶ月時代の退化の象徴としての月とに分離しました」
魂?「やべー、何も見えてないのに頭の中に膨大な知識が映像化されて、なお思考できてる感じがすげー」
霊人?「その叡智はあなたやその他人類の全ての本性が本来恒星由来のもので、人体の細胞として宇宙的な遺伝子でホログラム的に結びついていることから本当は頭からの神経ではなく血液を通じて叡智は地上の人間が霊界を視認できるための進化と結びつくはずだったのです。しかし、高次元逸脱存在によって対象認識のほとんどを奪われて以来精神の自由への進化を地上の彼らに委ねることとなったのです。彼らの権能のその拠点が衛星天体としての月であり、その軌道領域なのです」
魂?「そして、地球の生命として核を担っているのが古い月としての現在の形態・・・」
霊人?「それが地球の生命体です」
魂?「つまり、重力とは地球のエーテル体と古い月の名残である魂の領域との綱引きによって生じている、ということは潮の満ち引きや天体の位置関係は結局重力という一つのエネルギーによる現象と言ってもあまり差し支えがないように思うのですが・・・」
霊人?「ですから、問題は差し支えがあるかどうかではなく、魂による解釈の問題なのです」
魂?「確かに地上では引力が磁力よりもはるかに弱いっていう矛盾がある以上解釈に問題があるよな」
霊人?「解釈がすべてです。何を信じているのかで何もかもが決まるのはこちらもあちらも同じこと、つまり別々な世界というのはない、ということをワンネスと言います」
魂?「ワンネス、ルールと条件が違うだけの表裏一体ということのようですね」
霊人?「コインと同じです。表だけでも、裏だけでも、側面だけでも、コインは存在できないように全ての存在に対極と両極(統合)という要素による二重の概念が同時に張り付いています。始まりがあるから終わりがあり、終わりがあるから始まりがあるのです。その過程の瞬間は始まりでもあり、終わりでもあることから突然創造されたとも言えるし、一瞬で終わっているとも言えるのです。ゆえにすべてに対極の因果が存在し、その派生によって分岐しながらも根源的にはすべてが繋がっている、ということへの確信が人間の魂の永遠性からの解脱には求められています」
魂?「だから生まれてもいなければ死んでもいないのか・・・」
霊人?「死と生の対極は人間で言うと生命体と魂体という構造で物質体(物質体そのものでは生きていない、肉体は地球由来の人間自我の適合形態)である肉体に結びつくことで光と影が反転的かつ統合的に現実化しています」
魂?「眠りの際の意識が主体で昼間の意識はその影であることの反転関係もまたワンネス・・・」
霊人?「そのワンネスの人間的起源に位置しているのが純粋自我の創造主にして根源的な神々です。すべてがつながり、元は一つである、という言語の意味は誰にでも理解できます。しかし、その解釈が物理的なのか、量子的なのか、数学的なのか、オカルト的なのか、スピリチュアル的なのか、アンチ的解釈なのか、どの体系概念でも構わない、何でも有り、全部大丈夫な自由の理念が尊ばれる世界ゆえにどんな解釈でも問題はないのですが、人間の魂の死後の自由と永遠性を前にした際にはその限りではありません。霊性で貫かれた思考によって結びつけられた概念がいかにして生き方になっていたのかが解脱後の霊的な視力認識に直接影響しています。そのことに基づいて肉体をデザインし、生命体と魂体を厳選しているのが我々なのです」
魂?「我々とは?」
霊人?「生命の眷属のことなのですが、さすがに魂界ではその対極である生命の認識は届きませんね。では最後に、一つ啓示を授けましょう。残念ながらここでの問答のほとんどは脳の意識が戻ると同時に忘却の彼方へと消え去ります。ただ一つ、“均衡”という刻印をあなたの心臓に見えるよう施しておきます」
魂?「均衡を心臓に見るとは?」
霊人?「この現象は二〇〇〇年前のゴルゴタの秘儀以来地球人類に均衡の調停を実現した刻印です」
魂?「キリスト?」
霊人?「そうです。宗教の祖である天照、アフラマズタ、キリスト等は高次元の神々であり、キリストはかつてイエスとして地上に降臨していたのです」
魂?「地球人類への均衡と調停のためというのが全然見えないのですが・・・」
霊人?「あなた方は本当の現実をより見渡すために人間の魂を経験していて、キリストは人間の進化過程を魂の領域にて歪ませている高次元から降下している複数の悪神の影響を緩和するための救済として、地球の生命体と同期することであるべき進化へ導けるよう絶えず地球の生命力を通じて月軌道の諸力を調停しているのです」
魂?「じゃあ、キリストは、今の、地球の神なのですか?」
霊人?「いえ、キリストは太陽の神であり、霊界の太陽として根源の神々への境域を司っている存在です。そんな偉大なる存在が霊界への境域である太陽から降下し、古い月の進化体である地球の核と結びつくことで、あまりに重たくなりすぎていた人間の死後と生前(生まれる前)の霊魂が霊的な進化から逸脱し崩壊することのないよう、均衡という天秤によって自らの魂を明確に図る境域を設けたのです」
魂?「自らの魂を図る天秤?」
霊人?「人体の心臓と脳が太陽と月の対極として同期しています。その同期の天秤として地球の前世である古い月が物質体を捨てた姿として地球の生命体へと進化し、その権能をキリストが管理するようになることによって魂の生命体験の記憶を検閲審査することができるようになったのです」
魂?「それが、なんですか?・・・」
霊人?「最期の審判です。人間の霊魂は肉体の死後、生前の眠っている間の記憶を通して他者の目線から自らの行いを遡行的に省みることによって、私たちは人間の魂に個別の立場から人類の課題の改善に向けたデザインに関わるができるようになりました」
魂?「あの、なんか、一生懸命に何か言ってくれているのはわかるのですが・・・さっきから、だんだん耳鳴りみたいなのが、大きくなってきてて、今はもうとにかく眠いんですけど・・・」
霊人?「あ、申し訳ない。もうやばいくらい脳死状態が続いている上に、生命関連のイメージ提供できないからって説明文的な霊言浴びせすぎてたかもしれん、すまん、やべぇかも、大丈夫かな・・・」
魂?「いや、いいんです、いいんです、自分でお願いしたことですから、むしろよかった、ホントに、あー、もっと色々と知りたかったな・・・めっちゃ楽しかった・・・」
霊人?「また、逝きましたか・・・では、約束通り心臓に“均衡”の刻印を啓示として施しておきましょう。汝が汝の道を見失うことのないように」
『楽しいこと以外全部ウソの叙事詩』