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楽しいこと以外全部ウソの叙事詩   作者: ばんだな
序章 トワイライトアポカリプスのために
11/64

#11 トワイライトアポカリプス 終章/前編

#11


自分「音!?」

先輩「声でもあるの。今更じゃが、お主と妾のこの会話と言葉が何であるかわかっておるか?」

自分「言葉が何であるか?それは音とか振動とかそういうことですか?」

先輩「どうやって振動させておる?」

自分「そりゃあ、口やら喉を使ってって、あれ?そういや、口やら喉なんて無いんだった・・・ん?空気もあるのか?よくわからんな、じゃあどうやって?」

先輩「いわゆるテレパシーというやつぞな」

自分「これがテレパシー!?」

先輩「これを音だと思うか?」

自分「音か?と言われれば音なんですけど、あの読書をしていた時の直観的なメンタル用語がオレ自身に響いてる感じとでも言うか、幻聴というか、耳鳴りというか、夢のような・・・つまり音ですね」

先輩「まぁそれはそれでいい、ええか、今のお主がここで今感覚的に見るもの聞くもの触るものの認識する全てはエネルギーでできておる」

自分「またまた、それは無茶ですよ、だとしたらもっとうるさすぎなはずでしょ?」

先輩「それは耳に頼っておらんから可聴域も反転しておるんぞ」

自分「あ、そうだった・・・可聴域の反転か、逆にうるさくなりそうだけどな・・・ていうか肉体どころかもうほとんどファントムすら無くなってるんだが、流石にやばくないですか?」

先輩「問題ない、妾とのコードがある限り虚無化することはないぞな」


自分「え?虚無化って何?怖いんですけど・・・」


先輩「妾ら生命の声に耳を貸さないことを選んだファントムの埋葬先のことぞ」

自分「やっぱり怖い話だった」

先輩「お主らのよく知る地球の地上はその怖い話でできておる」

自分「マジか、でもそんな気がしてた・・・ってことは地球の物質空間も音が構造化されたものだということなのか!?」

先輩「お?珍しく鋭いところに目をつけおったな、目はないんじゃが」

自分「ただ音が超音波で物を壊したり動かしたりは想像できるんですけど、流石に地球のような岩石でガチガチな物に至るまでが結びつかないんですけど」

先輩「動物と人間の関係と同じぞ。動物たちが同じ直線上の時系列から人間にならなかったのと同様に地球そのものも前次元からの転生を経て惑星複合体として出現しておるんじゃ」


自分「なんかその話もどこかで聞いたことがあるような、ないような・・・」


先輩「相変わらず混沌としておるな、何にしても音とこの世界との関係については様々な説明が可能なんじゃが、今はお主の教養体系に合わせるべきゆえ結局音として“こうあるべき”と貫いているものは同じで、エデンにおいては生命の神霊である妾の意志の分子でありエネルギーとして反映されておるのが音ということぞ。お主らはそれを振動と呼んでおるがその振動のリズムを決めておる意志が創造の根源の主要素として噛んでおる」

自分「神霊である先輩たち他の意志である何かが音である振動以前に創造されているということで合ってますか?」

先輩「そういうことぞ、妾のその意志はもっと根源の次元からの音として貫かれて届いおるものなんじゃ。力とはそもそも対象に関与するものであることはお主らの空間でもエデンであっても同じことぞ。形や立場はどうあれぞな」

自分「猫や昆虫が暖かい場所に集まる習性や本能みたいなのが神霊や精霊にもある、“それが思考という意味で同じ”、ということですか?」

先輩「これはこれは、帽子を脱がねばならんかもしれんな。そう、お主らが本能と呼んでおるものとは根源から形を違えた思考のことぞ。人間は人間の思考から自由にはなれん、それは天使も精霊も同様であり、根源より与えられし思考本能という縛りはむしろお主ら人間を遥かに凌ぐものぞ。その仕様とも権能とも言える人間的な性質であるその意志の根源は熱そのものから空間を多様化させたことの原因でもあり、音でもエネルギーですらなかった純粋な思考が現在のお主の血液にまで届いておるその反映なんじゃ、その意味がわかるか?」

自分「人間の血液に根源の意志が力(本能)として宿っている、それは熱そのものを発生させた音に由来している・・・」

先輩「音の意志による熱の権能が発生、つまり時間となったのじゃよ」


自分「熱が時間に!?」


先輩「時間は自我として出現し、自我は無限を有限とし、内へと収縮する力の生命(維持、秩序)から外へと拡散する力の魂(運動、消滅)としながら、やがてそれらが結晶化(エーテルの硬化)することによって現在の宇宙となった時、根源にして純粋な自我は魂を導く意識となり、生命を進化させる揺り籠をも提供することで破壊と創造の両面を備えた均衡的な空間となったぞな」

自分「つまり、宇宙という世界そのものが音や熱の空間に時間が混ざり合った複合体的な世界であり、先輩だけではなくオレのようなファントムもまたその複合体の一要素であると同時に、一つの根源から分かれた同一の存在ということですね・・・」

先輩「その同一であって、同一でない状態を創造しておるのが、お主ら魂のファントムの役割ぞな」

自分「でも影なんですよね」

先輩「本体があって影として現れておる関係が太陽系と地球の現象の全てにお主の鏡のように出現しておることをよく洞察するんじゃ。そして、そこで気づくべきこととは、それらの中には本物が存在しておらんということぞ。存在とは幻想であることの自分自身から自らの意志の故郷に帰っていくべく道筋のヒントきっかけに過ぎん、ということぞな。じゃから、お主自身が影であることを知ることが最初の一歩になるんじゃ」

自分「アストラル体という本体の影であるファントム・・・幻想による空間世界に気づいて、本物の自分と世界へと脱出しろということですよね、その最終地点が“ここ(エデン)”ということですか?」


先輩「ここではない、エデンですらお主の故郷からしたら影に過ぎん」


自分「そう、なんですか?こんなにも超越的な空間でかつ、その構造は音で、熱以前の何かがこの世界を担っているわけですよね?だとしたら、少なくとも地球や人間の創造以前の意志が働いているってことを考えたらとんでもなく高次元的なことわりに則っているように思うんですけど・・・」

先輩「脱帽で足らんなら、妾は服でも脱げば良いのか?」

自分「なんかエクスタシーな感じになったんだが?」

先輩「これも妾の権能ぞ」

自分「なんの?ですか?」

先輩「男は欲望、女は計算で行うやつじゃよ」

自分「え?何?セックスの話してんの?」

先輩「それぞ!妾は今まさにお主らの次元で言うセックスの気分に近いぞ」

自分「ちょ、それはやめましょ!唐突すぎるし、こっちはそういう気分じゃ・・・」

先輩「恥ずかしがるでない、やり方は妾に任せて、お主は何もせんでいい」

自分「そういうパターンかぁぁ、やめてー」

先輩「という感じじゃ、わかったか?」

自分「えーーー?何が?」

先輩「これが脱出方法ぞ」

自分「どういうこと?」


先輩「じゃから“自分自身と結婚せよ”ということぞ」


自分「あー、そういう哲学的なね」

先輩「哲学などではない!よー考えてみー!男女で結ばれ、新しい子が生まれたとしようぞ」

自分「おめでたいですね」

先輩「果たして本当にそう思えるかの?」

自分「いや、どうでしょう?オレは結婚とかまだだし、ていうかそれが目的で女の子のこと見てないし、付き合ってないからわかりませんって」

先輩「お主は欲望丸出しじゃからな、ある意味賢いといえば賢いのかもしれん」

自分「賢くないとモテないですからね」

先輩「お主はまるでモテとらんがな」

自分「いーんです、みんなじゃなくて、特定の誰かに好かれれば・・・」

先輩「その特定を自分の内側に向けることができれば外側も円満関係として反映されるんじゃ」

自分「マジでか」

先輩「それが結婚であるとは限らんがな」

自分「それじゃどんなに自分磨きしても意味なくないですか?」

先輩「自分の内側を特定するというのはそういう意味でないのは今のお主ならもうわかっておるはずぞ」

自分「そうは言っても“結婚”の響きや異性との付き合いによる潤いには理屈じゃない楽しさと“おめでたさ”があるんですよ」

先輩「たとえ男女の教育の方針が食い違ったり、協力関係がなかったり、お互いの時間を作れず、1人の時とは違う世間体という圧力もあったりして自分らしさのようなものが失われたとしてもか?その内に都合よく思った通りに育てられんかった子供のことがわからなくなり、場合によっては子供が犯罪を犯したり、いじめられられたり、頑張り方を知らん育ち方をしたりして手に負えんとかな。時には親よりも先に子供が命を落としたり、親同士の粗相次第では別れることもある等の哀しみをお主ら人間の家庭一族は共に辛酸を舐めながら乗り越えるものという合意の下で結婚をするわけじゃ。お主らの人間社会はそれを大きな目的の一つとして掲げ、人類の歴史的国家規模で推進しておるわけじゃが、それらが本当におめでたいと同時に人間が地上に存在することへの使命と言えることなのかをお主は考えたことがあるか?」

自分「うーん、使命のことまではわかりませんけど、それでも結婚する人がいるのには結婚への夢のようなものが理屈以上に強いんです。そんな先のことまで考えたって仕方ないし、今が楽しくてこれからも楽しくて幸せにやっていけると信じられたなら、オレたち人間は結婚するんです。自分だってそうやって育てられてきたんだし、ずっとずっとそうやって人類が反映してきたことはバカでもわかるわけで、なんつーか、考えももちろんあるんですけど、オレたち個人の考え以上の力みたいなのが働いてるんだと思います、知らんけど」

先輩「それがお主の力(意志)ぞ」

自分「やっぱり?そんな気はしてました」


先輩「つまり妾らはその影ぞ」


自分「だから空間ばかりに囚われるな、ということですよね」

先輩「だが同時にお主ら魂のファントムが覗いておる空間には全てが存在しておる」

自分「思考の貫きによって表裏一体なんですよね」

先輩「その思考がお主らのファントムにおいてネガとポジで裏返っておるんじゃ。妾らが記憶のフィルム(時間)だとしたら、お主らの純粋自我はフィルムの中の肉体(空間像)に光を当てておる投光器リズムのようなものぞ。その光の反射であるフィルムのネガそのものが妾の影である生命のファントムであり、ポジフィルムの登場人物として主役を張っているのが魂のファントムとしてのお主ぞ」

自分「純粋自我の意志が光という原因としてファントムにオンとオフを構造化したものが宇宙という結果を発生させている、その痕跡というか名残のような反映がオレたちの見ている光景全ての現象化しているという理解で合ってますか?」

先輩「もう少し正確な理解が必要じゃな、純粋自我としてのお主の意志と設計である肉体への思考の光から認識する空間現象は絶えず宇宙を発生させ創造の原因となっておる。そういう意味で肉体は常に原因であることから未来への可能性を担っておる純粋自我の対称的触媒ぞ」

自分「肉体という純粋自我としての対称的触媒が常に原因・・・だとしたら、結果はどこにあるんですか?」

先輩「お主らにとっての結果は未来にしか存在せん」

自分「しかし未来は次の瞬間には過去になっています。そうすると過去もまた結果ですよね?未来が結果で、過去も過去で結果であるとするなら・・・」

先輩「お主の言う未来と過去は肉体でのことであり、肉体において提供されておる時系列的な過去と未来は全て運命という過去ぞ。言い換えるならもうすでに一度ならず二度三度繰り返されておるもうすでに終わった物語のフィルムをお主らはファントムとして覗いておるんぞ」


自分「終わった運命・・・だったのか、でもなぜかやっぱり感がすごい・・・」


先輩「ただそこもお主ら魂のファントムの未来の可能性における分水嶺となっておる」

自分「未来の可能性というのがいまいちわからない、オレたちの肉体と魂の運命はもうすでに終わっていて全て定められてる過去なんですよね?」

先輩「大きな宿命の前ではな」

自分「変えられるということですか?」

先輩「そのために妾らも運命というフィルムを提供しておる」

自分「フィルムの内容をすでに知っている、おそらくそれが先輩の言う“完全記憶”のことですね・・・だから運命は先輩の影であり過去なのか・・・てことはやっぱり先輩はオレの前世じゃないですか!」

先輩「だから違うと言うとろうが!お主らファントムは勝手に妾が提供しておるフィルムから逸脱することを意志とした境界存在ぞ。仮に妾がお主の前世だとして、お主のためにわざわざ提供した根源の意志でもあるストーリーをどうして変更できる?妾はお主の前世が創った運命をフィルムとして再生しておる時間の再生を担っておる生命の守護神霊ぞ。それをいつも無茶苦茶しおってからに!」

自分「無茶苦茶?」

先輩「お主はお主で魂のファントムに守られておるから色々と知らんのじゃ」

自分「え?先輩が守ってくれてるんじゃないんですか?」

先輩「妾が守っておるのはお主の肉体の意志である使命ぞ」

自分「じゃあオレを守っているのは?」

先輩「別におる」

自分「誰!?」

先輩「楽しいこと以外全部ウソというとんでもない叙事詩を蔓延させとる奴のことぞ」

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