#10 トワイライトアポカリプス 後編
#10
先輩「楽園と言ってもここは地球内部であって、お主の人体内でもあるんじゃがの」
自分「それってマントルと人間の内臓のことですよね、そういうの今はいいんで、今はこの常軌を逸したエデンの話がしたいんですけど・・・」
先輩「お主、このエデンを天国か何かだと勘違いしておるようじゃの」
自分「ええ、オレたちの醜い色欲の断片も存在していない“ここ”こそ天の使いが住むにふさわしい超越的空間・・・そしてこれが今のオレの意識?」
先輩「それはそうなんじゃが、お主の魂のファントムが半分以上消えておることには気づいておるか?」
自分「マジか、でも身体の感覚がないから消えている実感さえない、もしかしてやばいのか?」
先輩「お主の主体がエーテルブレインになっておるからぞ」
自分「エーテルブレイン、ですか・・・」
先輩「エーテルブレインとは、お主ら魂のファントムを肉体から退けた後に妾ら守護天使が使用する人間の脳の原型のことぞ。それを今はアストラル体の背後であり本体の純粋自我としてのお主に預けておる」
自分「え、オレって純粋自我なの!?」
先輩「お主は元より心臓の意識が開拓されておった関係で自覚なく心臓のエーテル化がある程度進んでおってじゃな、本来であれば肉体の目を通じて物質のヴェールを剥がし、お主とは別の亡霊のような魂のファントムをお主の意識である空間で認識させることもできたくらい純粋自我はお主の血液に浸透しておったんじゃが、それはさせんかった。言わずともわかるの・・・」
自分「何言ってるかはよくわからないですけど、その意図だけはよくわかります、なんかすいません、そしてありがとうございます」
先輩「うむ、それでも勤勉な妾はエーテルブレインのビルド調整は行っておってじゃな、妾のその意向と純粋自我であるお主にとっての影の中の影であるファントムとの波長というか振動が急激に妾寄りになったのを契機に少しお主の目をここまで連れてくることになったぞよ」
自分「エーテルブレインを調整したって、何か違和感を感じてたんですけど、そういうことか」
先輩「そういうことぞ」
自分「どうりで本を読んでる際、妙な感覚だったわけだ。いくらまともに読書をしてこなかったとはいえ、あのなんかもう、活字が音や映像に変換されていくのは明らかにおかしいし、それがやがて愚痴なのか思想みたいな何かが聞こえてくるみたいな・・・」
先輩「それを覚えておるか?」
自分「なんか、うどんか蕎麦かでいえば完全に蕎麦派で、うどんは太くした蕎麦に過ぎないとか何とか言っていたような・・・」
先輩「そんな強過ぎる思想を妾がしていたと思うか?」
自分「すいません、なんか“それってあなたの感想ですよね”的なことを言ってたような感じしか覚えてません」
先輩「ここにまできてまだ完全記憶をピックアップできんとは全く嘆かわしい」
自分「完全記憶って何それ・・・」
先輩「そもそも記憶とは何ぞと考えておる?」
自分「記憶とは、ですか?人間的に答えるならば脳内の過去情報のことなのですけど、それじゃダメですよね?」
先輩「ダメじゃな」
自分「やっぱり」
先輩「お主らの世界で行われておる脳科学等の研究が無駄であるとは言わん、ただ全部わかったことにしておる、或いはすでにわかっておることは全て正しい、揺るぎないなどという考え方は全面的に誤謬であるとだけ伝えておこう。その上でじゃ、記憶はお主らの知る物質的な脳内には一つもない」
自分「じゃあ、全部間違ってるって言えばいいじゃん!」
先輩「妾らは否定はせん。ただ拒絶しておるだけぞ。否定する行為そのものが悪だからじゃ。否定する価値観そのものが争いの火種なんじゃ。じゃが、妾らはお主らが地球人類全てを巻き込んだ血で血を洗う戦争をしようとも頭ごなしに否定はせん、ただその動機や情念による阿鼻叫喚に応じて生じる記憶を提供し、その記憶の持ち込みを拒絶し断絶しているだけぞ」
自分「なんかとても崇高なことを言わんとしていることはわかるんだけど、さっきから散々違うとかダメとか間違ってるって否定され続けているのは気のせいでしょうか?」
先輩「それらは否定しているのではなくてじゃな、お主らが北海道に向かおうとしておるのに九州方面に向かっているのを指摘しているのであってじゃな、物質脳への見解のことやお主ら人間のことについても否定ではなく拒絶と断絶と絶縁を駆使してメタ的に導いておると考えるんじゃ。寛大な意志で許しながらの」
自分「許されながらメタ的に導かれているのか・・・ほんとか?」
先輩「お主ら小賢しいファントムと一緒にするでない」
自分「わかってます、何となく許されているのも含めて何となくですが・・・それでメタってあれですよね、外側とか高い位置からの視点でいつでもネタバレできる立場的なことですよね」
先輩「妾らのことであり、広義にはお主のことでもあるんじゃがな」
自分「オレも対象なのか・・・てか、あれ?そのメタ的に導くって、それってもしかして記憶を調整しているってことですか?もっというとそれにファントムが関連してますか?」
先輩「関連も何も、お主ら魂のファントムは記憶以外には存在さえしておらん、幻影ぞ」
自分「まぁファントムですからね・・・」
先輩「じゃが決して所詮とは言わんぞ、何しろ空間そのものが意識であり、生命であり、記憶なんじゃからな。流石の権能と畏怖せずにはいられん。つまり、お主らが肉体で知覚と呼んでおるのは妾らが提供しておる記憶そのものへの感受であって、その空間を物質化させたものの対象を意識と呼び、その物質形態に名前をつけて、本来の意識空間の記憶が何であるのかを根本を忘却し、好き勝手に記憶の改変をし、その想起を自分のこととしてメンタルと呼んでおるのがお主ら魂のファントムぞ」
自分「それがファントムブレインなのですね」
先輩「いや、アストラルブレインじゃな。エーテルブレインには対極があるんぞ。生命とは対照のアストラルブレインは忘却と裏返りの起点として物質体の脳を支配しておる。また物質体の心臓を脳として支配しておるのがエーテルブレインである妾ら生命体を司るエデンの住人である四大精霊たちぞ。そして、妾らの意識空間である肉体の心臓を動かしておるのが純粋自我であるお主ぞ」
自分「オレが心臓を動かしている?」
先輩「血液の影としてな」
自分「ん?心臓は脳によって動いてますよね?でしたら心臓を動かしているのは脳を支配している魂のファントムであるオレなのでは?純粋自我?」
先輩「純粋自我はアストラルブレインとエーテルブレインの調停を人間的に行うことで人間的な血液を影としたファントムという複合融合体の深淵的本体のことぞ」
自分「深淵的本体かよ・・・それでもって人間的なファントムとして魂と生命の調停を行なっているのがオレの自我?」
先輩「お主は純粋自我の影ぞ。そして、人体のファントムとしてその居場所を昼は頭に委ね、夜は心臓に委ねることで魂と生命という二面性の均衡を血液を通じて行なっておる」
自分「しかしそれでしたら動物も人間の人体と似たような組織をしていますよね?でも彼らには感情はあるかもしれませんが、自我がありません。でも頭と心臓と血液はありますよね」
先輩「人間と動物の組織は似ている部分があるだけでまるで違うことがわからんお主ららしい発想じゃの。メッセージとして提供してやりたいのは山々じゃが、生物的な叡智だけでなく人間の医療的な見解のないお主には向いておらん。とりあえず、骨の形成と発生の違い及びその血液の性質が人間とはまるで違う力に由来しておるということだけを伝えておいてやろう」
自分「今は何が血液を回して心臓を鼓動させているのかの話をしているのです。もうすでに十分医学的だと思うのですが?」
先輩「仕方ないの・・・動物たちにも自我があるんぞ。ただし、肉体にまで降りておらんのじゃ、人間と違っての。じゃから彼らは自我のない人間同然、或いは彼らは前次元において人間になることを拒絶し、人間から吐き出された過去の人間たちの名残なんじゃ。つまり退化した存在ということぞ」
自分「あれ?この話、なんか聞いたことあるぞ・・・」
先輩「確かにお主の言いたいこともわかる。人間と動物も肉体という組織を共有しているのは事実じゃから、似た構造をしておる。なぜなら宇宙の休息期において進化を違えた人間存在の分枝じゃからの。ゆえに心臓が血液を動かしておるわけではないというのもまた同じということぞ。脳が健全でも血液が不健全となれば意識を失い、血圧が低下し心臓は動かなくなって、脳にも血液が行き渡らなくなる、というのが実際の構造順ぞ」
自分「ではそのリズムや呼吸等の脈拍も脳や心臓によるものではないのですか?」
先輩「方位磁石の針や地球の自転や公転は何故回っておる?」
自分「それは磁場や重力ですよね?」
先輩「そうじゃ、心臓も同様ぞ。神経につながって動いておるのではない。神経は心臓の動きを知覚し、そのリズムを自分の身体のものであると感じておるだけぞ」
自分「神経は心臓の動きを知覚しているだけ・・・だから神経ではなく、血液が心臓を鼓動させている」
先輩「そうぞ、磁場や重力及びその他諸々の運動による力の法則の背後には全て高次元の神霊が関わっておる。それらは全て回転し、波となって揺れることで空間を埋める力として存在しておるんじゃが、その根源の中枢に純粋自我が存在しておることからお主らの脳を支配しておるアストラルブレインまで貫き、その純粋思考の権能であるリズムに従ってアストラル組織が血液を回しておる」
自分「バカな・・・そんなこと言ったら全部霊現象ですってことになるじゃないですか・・・」
先輩「じゃから、妾はそれを伝えるためにお主をここに呼んでおることにはよ気づけ!その一環で心臓の役割が血液を回すポンプであると絶対普遍の教義に近い信仰を築いて勘違いしておるその洗脳をどうにかするためのエッセンスを提供しておるんぞ。心臓は血液の循環によって鼓動しておる。オンとオフ、世界に昼と夜があるようにな」
自分「それって心臓の鼓動が太陽と関連してるみたいじゃないですか」
先輩「そうぞ、心臓は太陽ぞ」
自分「そんなアホな・・・」
先輩「太陽が心臓の反映であるとしよう、太陽は銀河を移動しておるじゃろう?」
自分「そう、ですね」
先輩「心臓を動かしておるのは?」
自分「は???」
先輩「心臓を鼓動させておるのは何かと聞いておるんじゃ」
自分「純粋自我の影である血液、でしたよね」
先輩「その純粋自我の反映である血液は熱という無から有限へのきっかけとなった原初の力と現在の宇宙全体である銀河という空間と一体化しておる。もちろん、その空間には地球も人体も含まれておるということはわかるな?」
自分「純粋自我の反映が宇宙空間のエネルギーとして貫かれている、それが熱であり、人体では血液だということですか・・・」
先輩「お主ら魂の領域ではその序列に見えるかもしれんが妾ら生命の視点から見た本来の関係性は人体の移動に応じた血液の循環が銀河そのもの在り方に関与しておる。お主ら魂の自我の背後に銀河の中心でもある純粋自我がおることによって血液を半永久的に回転し続けておるんじゃ。その視点関係そのものが魂と生命とでは反転しておるのが混沌の源なんじゃが、この人体の血液循環という最小単位の回転と脈拍は地球の自転と公転をはじめとした太陽系と銀河の秩序と完全に同期しておるというのは共通真理であり、“全は一、一は全”の叡智なんぞ」
自分「ワンネスですね・・・それも聞いたことがあるぞ。つまり、純粋自我の行き渡った銀河の構造の隅々にまで法則として関与している神霊たちが掻き回す宇宙の回転に合わせて血液は回っているというのが境界を通じた真実・・・」
先輩「いや、だから逆ぞ、お主の本性である純粋自我が根源の熱として血液を循環させることによって得た熱エネルギーによって超高次元の神霊の影であるアストラル体の影とも言える地球理念の集合体が宇宙空間(魂の運動意識)そのものの反映となった回転が像となって投影、現象、存在となっておるんじゃ」
自分「もう何が逆で逆でないのかすらまったくわけがわからん・・・」
先輩「混沌とはそうことぞ」
自分「では、根源である熱の根源は何なのですか?純粋自我の発生にも何かしらの根拠がなければ、俺たちの世界でいうビッグバンと何ら変わりがない仮説に過ぎません」
先輩「音ぞ」




