彷徨う英雄、亡き人は帰らずⅡ
いいねとか、ポイントとかくれたら喜ぶんだけど……喜ぶんだけど!?
俺と般若英雄が同時に距離を詰める。
垂直に下された黒刀をミリで避けて思い切り横振りをしたが黒刀で止められた。
こいつ、振り下ろした黒刀で途中でピタ止めしてそのまま防御しやがったよ。
そんなの普通できるか!?
すぐに俺の腹目掛けて蹴りを放ってくるのが視えたのでその場でジャンプして飛び出してきた足に俺の足をつけて軽くバク宙する。
着地する前に襟を掴まれてそのまま投げ飛ばされた。
チラッと見えたが俺がバク宙を開始した次の瞬間には黒刀は鞘に収めつつあった。
足を何回か地面につけて回転しながら怪我なく着地をしたがすぐに後ろに移動する。
俺を追っかけてきた般若英雄が目に見えたからとりあえず後ろに移動したけど、それでも追走してきた。
顔の目の前には鞘から抜かれた黒刀の柄があったので顔を左に流して避ける。
横を確かに通り過ぎたと思った刀に般若英雄の右手が伸びた。
般若英雄はしっかりと黒刀を掴みそのまま左上から右下へと振り下ろした。
片膝を地面に着きながら一文字で黒刀の振り下ろしを受け流した。
完全に振り下ろした黒刀だったが受け流しされた時に手首の角度を変えて刃先を俺に向けた。
そのまま刺されることが予測できたので半歩後ろに移動することで突き刺しを回避することができた。
そしてまた俺は吹っ飛ばされた。
刀を死角として蹴りを放たれたっぽいな。
「いや〜強い。 強いな。 お前、強いな。 楽しいか? 俺はすごい楽しいぞ」
〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜
「うそ、リオンが……」
ハクとリオンが門を開けてすぐのこと、桜の木の下に居たはずの般若の仮面を付けた英雄がリオンの目の前に現れてそのままリオンを真っ二つにしたのだ。
その次にハクの目の前に現れて吹っ飛ばされた。
「あのハクさんが吹っ飛ばされてるっすか?」
「んーギルマスが吹っ飛ばされるって……想像できないや」
ハク……信じてるね。
「ギルマスがまた吹っ飛ばされた」
「痛覚あるっていうのに……本当に化け物はどっちなんすか」
「でも大丈夫だよ。 ハクだもん」
「特に根拠なんて無いけど、アタシも分かるな〜」
「ハクさんっすからね」
村の方から1台の馬車がやってきた。
「アルカさん!」
「やあやあ、どうだい? 楽しんでるかい?」
「楽しむも何もなかなか化け物っすよ、お互い」
「結局は勝つから大丈夫大丈夫! 楽しもうぜい! ご飯やら色々持ってきたよ」
「わあ、ありがとう!」
「お、ちょうどハク君笑ってるじゃんか。 楽しそうでなにより」
僕、たまに思う時があるんだけど……アルカさんとハクってすごい通じ合ってる所があって凄いんだよね。
ちょっと妬いてみたり……。
「ん? 笑った……?」
「どうかしたんすか? マイルさん」
「ちょっと前一緒にミノタウロス狩りした時に同じようなことがあったんだ」
僕はあの時どんなことが起こったのかをそこにいるみんなに話した。
「何があっても勝つさ。 大丈夫だから安心しな」
アルカさんが気楽そうにハクの戦いを見ている。
やっぱりこの2人の信頼感はとてつもないんだろうな。
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