ハク様、バトルジャンキーかも?
「ブモォォォ」
目の前で僕の好きな人がミノタウロスと戦っている……笑顔で。
「リオン、あれが本性なのかな?」
「そうじゃろうな、あれほどの戦い好きが今まで痛覚が無くて隠れていただけじゃろう。 幻滅したか?」
「ぜーんぜん。 何してもかっこいいんだから」
今までのハクは他を圧倒してた。
勿論ステータス差はあるからって思っていた部分もあったよ。
でもステータスが半減されて通常値に戻って、痛覚が生じてどうなるかと思ったけど……そうだね、言うとするなら【化け物】って感じだよ。
同じ人間なのかなって思うほどには凄いと思う。
前に聞いたことがある。
おじいちゃんがすごい厳しくて幼い頃から訓練を受けさせられてたって。
今までの戦いは理解はできたけど意味がわからなかった。
動きが早くて分かりませんって感じだったけど、今は理解もできない。
動きが最早同じ人間ができるものとは思えない程だった。
追いつけない……。
アレは追いつこうとしてはいけないんだ。
そうも思えた。
僕が好きになった人は世界一強いんじゃないかな……。
そんなの……そんなの……カッコよすぎるよ!!
あぁ、すきすきすきすき!!
あの笑顔がカッコイイ、見てるだけでにやけちゃうよぉ〜。
追いつけなくたっていいんだ。
ハクはいつも言ってる。
『俺にしか出来ないことがあるかもしれないけど、みんなだってそれぞれ長けてる事があるんだからそれ伸ばせばいいんじゃないかな。 俺は魔法を撃つことが出来ないし、生産系も一切分からない。 それでいいんだよ、自分が得意な事を伸ばせば』
僕にも出来ないことがたっくさんあるけど、この魔法だけは僕のもの。
これからも僕の魔法でハクをあっと言わせるんだ。
そうこうしているうちにハクがミノタウロスを倒した。
その後僕が倒してリオンが倒してまたハクが倒すっていうのを今日はずーっとやってたよ。
〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜
「いやー満足した」
「久々の主の戦いはやっぱり綺麗で美しいのう」
「そんな褒めるなよ〜。 一本勝負でどうだ、リオン」
「その言葉を待っておったわ」
俺とリオンはお互いに距離をとって勝負の準備をする。
その間ミノタウロスが来ないようにマイルに見張っててもらう。
「拳でいいよな」
「もちろん」
「スタート!」
マイルの掛け声で俺とリオンがお互いに走って近づく。
リオンの速い上段蹴りが俺に襲いかかるが、そこはしっかりと膝を折り頭の位置を低くして避ける。
避けるのと同時に右手に力を入れてリオンの顔目掛けて拳を放つ。
俺の右手の拳がリオンの顔に当たると思ったその時、リオンが俺の右手首に拳を当てて攻撃を防いだ。
これは俺の【水鏡】だ。
1度距離をとってリオンに問う。
「まさか、リオン……真似たか?」
「そのまさかじゃな。 まだまだ成功率は低くて使い物にもならんが、主の顔を驚かせただけでも十分頑張った価値があるわい」
「お前すげーな!! ここはお手本を見せてやろう」
【水鏡】の構えをとる。
1度両手を脱力させる。
相手の動きをしっかりと捉える。
ただこれだけ。
リオンが俺に向かって鋭い突きを放とうとしてくるが、俺に当たる直前でリオンの右腕は弾かれる。
脱力した腕は一気に力を入れると通常の速さよりも何倍も速くなるって知ってる?
俺はそれをやっただけ。
ステータスが半減しようが体の理屈は変えられない。
これがFWのシステムだから良かったよ。
リアルに近づけたシステムで。
キンキンみたいなシステムだったらこんなの意味無いんだけどね。
あれはせいぜい体の動かし方だけで、避けたりだとかが精々……。
「ぬおぉ、それが水鏡の真髄というわけじゃな?」
「んや、違うよ」
そう言って俺は即座にリオンの目の前まで走ってリオンの顔に向かって思い切り飛び蹴りを食らわせた。
「ここまでがワンセットだね」
毎日投稿厳しいけど2日に1回は投稿したい気持ち。
気持ちだからね!
のんびりいこうぜ!