運営室にて
ここはFreedomWorldの運営室。
沢山のパソコンが並べられており、部屋の真ん中には大きな機械が置かれていた。
ーガチャッ!!!
「あれはどうなってるんだ!!」
「だから言ってるじゃないっすか、勝ち取った者の権利っすよ……西谷さん」
運営室の唯一の出入口のドアが大きな音を立てながら開いた。
入ってきたのは2人の男性。
1人は身体が大きく屈強な男性。
もう1人は身体は細く身長もあまり高いとは言えないひょろっとした男性。
屈強な男性の名前は、西谷 権蔵という。
何世代も前からお金持ちという事で名を残してきた西谷グループの代表で、彼の一人娘が偉くゲームが好きだったりするものだから、とある会社にお金を貸したそうだ。
それがFreedomWorldの始まりとも言える。
ひょろっとした男性の名前は、宗方 重忠 (むなかた しげただ)という。
彼は昔からゲームが好きだったので、いつか最高のゲームを作りたいという理由で勉強に勉強を重ねてFreedomWorldを作ろうとした。
しかし機材など人件費などを払えるお金は持ち合わせておらず困っていた所に西谷権蔵が現れた。
そしてFreedomWorldの創設者となったのだ。
この2人、仲がいいのかと思うが別にそうでも無い。
ただの金の貸し借り関係にあるだけだった。
宗方は少なくとも恩を感じているが、最近権蔵のやる事が如何せん酷いもので……頭痛の種だという。
FreedomWorldを世に出してすぐに権蔵から色々あったのだ。
自分の娘を優遇したいのか、あれしろこれしろって何度も何度も言ってきた。
しかし宗方はそれだけは出来ないとずーっと言い聞かせてきたが最近もっと爆発してしまったのだ。
最初は女神アグリアが娘さんの彼氏(仮)の人に着いたから優遇されていいじゃないかと言い聞かせていたんだが……1人のプレイヤーが全てをさらっていってしまった。
しかしそのプレイヤーは全プレイヤーに与えられたチャンスで、他のプレイヤーはそのチャンスを捨てたが彼だけがもぎ取ったのである。
だからそれに関しては何も文句言えない事であって、取り上げてはいけない事でもあった。
しかし権蔵はそのプレイヤーが許せなかったらしく、最初は女神サクヤをデリートしようとしていた。
権蔵は機械の方も少し出来るらしく、そういった事をするレベルくらいではあった。
流石にその行為は許せないと思った西谷だったが、まだ借金はあったし恩も多少は感じていた為妥協案として、関わることを一切禁ずるという手段でその場は乗りきった。
しかし今度は第1回イベントの出来事がいけなかった。
権蔵はもちろん自分の娘とその彼氏(仮)の通称勇者を応援していた。
そりゃ誰だって自分の娘息子が頑張っていたら応援したくなる。
結果惨敗。
手も足も出ずただ一方的にぶちのめされただけだった。
そして優勝したのは権蔵が1番嫌だと思っていたあのプレイヤーだった。
そして何を思ったのか権蔵は怒った顔をしてこの運営室に向かってきたのだ。
「あんなにもステータスの数値がかけ離れていると流石にゲームバランスが崩れているぞ!」
「いいっすか、西谷さん。 アレはあのプレイヤーの努力っすよ? それに娘さんと勇者君を打ち負かしたのはあのプレイヤーではないっすよ」
「それはそうだが……あの魔法を使うプレイヤーもおかしいだろう!」
「なにもおかしくないっすよ。 ステータスはMP極振りで使う魔法等はMP依存なんすから、あとはあのプレイヤーの技術っすよ」
「そうはいっても……やはりおかしい!」
その後落ち着いたこと思い宗方は自分の机に座って作業をしていた。
「ちょ、何をするんですか!!」
「ええい、どけい! こんな事あってはいけないんだ!」
「宗方さん! やばいですよ!」
「ん……なんかあったんすか」
宗方が後ろをむくとそこにはコーヒーを管理システ厶の機械にかけた権蔵がいた。
「何やってんすか!!」
権蔵をすぐにどかし、作業員総出で丁寧にコーヒーを拭き取る。
「こんなゲームこうしてやる」
「いくらなんでもやっていい事とやっちゃダメな事くらい分からないんすか!」
「宗方さん! これを見てください!」
1人の作業員が急いで宗方を呼ぶ。
宗方が急いでその画面を見ると、そこには1人の青年が痺れ倒れているではないか!
今のコーヒーで機械が何かを起こしたせいでこのプレイヤーが雷に打たれたかのようになっているではないか。
宗方は一気に顔が真っ青になり、すぐに謝罪に向かおうと色々準備をする。
権蔵にも責任があるので勿論連れていく。
謝罪が終わり帰ってきた宗方はとある行動を決意した。
大量のお金を用意して西谷権蔵に突き出し、この運営室から追い出した。
そして今後二度と関わることを禁じた。
権蔵消えろーー
ばーかばーか!