レベル開放されたけれども
「てか、レベル上限解放忘れてるじゃん!!」
ギルドハウスでのんびりしていた所、当初の目的を思い出したのでみんなを集めて早速レベル上限解放の祭壇に行くことになった。
「いやー僕が言い出しっぺだったのにごめんねー」
「大丈夫大丈夫、気にすんなよ」
勇者君の事でみんなすっかり忘れていたらしくて、みんながまた集まれる日に行こうという話になったのでアレから数日経った今日、こうして集団となって祭壇に向かってる。
そして、着いた祭壇は特別な飾り等は無くただそこにあるだけだった。
特別感も無ければ住人が特に囃し立てる事もない……ただの置物に近い存在だった。
「取り敢えず儂からでいいかのう」
リオンは俺の毒味役だと思って1番に上限解放をしてくれた。
俺が1番がいいって言ったらみんなに最後だよって言われちゃったよ……。
ショックを受けてたらハルが慰めてくれた。
可愛い。
数秒その場で固まっていたリオンが唐突にその場からこちらにやってきたので感想を聞こうとした。
「自分で確かめてみるのが1番じゃな、いいものじゃよ」
そう言うのでそれ以上は聞かないようにした。
リオンが終われば次々他のみんなが上限解放をした。
みんな憑き物が落ちたような表情で雰囲気も一段と柔らかくなっている気がする。
そして遂に俺の番が来た。
特に何も考えずに祭壇の真ん中に立ち、数秒待つ。
ーパキンッ。
何か鎖が弾けたような音がした気がする。
その音の後に数秒下から風が吹いた。
何か開放された気分にもなれた……気がする。
確実じゃないけどそんな気がした。
レベル上限解放が終わり祭壇から降りようとしたその時。
俺の体が痺れた。
全身に雷が駆け巡っているみたいに痙攣した。
熱い。
血流が速い。
心臓も一段と強く跳ねている。
立っている事すらままならない俺は膝を地につき、そして倒れた。
リオンやマイルが近づいて俺に触れようとしてきた。
「俺に触るな」
そう言って2人を止める。
1分程で痺れは無くなったので、フラフラと身体が揺れながら何とか立ち上がった。
しかしすぐに倒れそうになったところでリオンに肩を借りる。
「主、大丈夫か?」
「うーん……変だな、バグか?」
他のみんなも心配して寄ってきてくれたが原因は分からず。
「おいおい……まじかよ」
「どうしたの、ハク?」
レベル上限解放された俺はステータスを確認してみたら、数値がおかしくなっていた。
ーハクー
Lv.100 職業:幻術士
H P:10
M P:100
STR:10
DEX:310
VIT:10
AGI:210【483】【966(街)】
INT:10
SP:5
所持マネー:1,000,000
頭 :狐のお面
胴:俊敏な布服(AGI15%UP)
手 :レッドゴブリンの革手袋・運び屋の腕輪(AGI2倍)
足 :俊敏な布服(AGI15%UP)配達ブーツ(AGI2倍『街』)
武器 :サイクロプスの棒
スキル
【ファントム】【落下ダメージオフ】【落下衝撃オフ】
「ステータスが半減されてるわ」
「なにそれ!? バグじゃんか!」
ステータス……半減………………ゲーム開始……サクヤ……加護……運び屋……レベル99……イベント……優勝……上限解放の祭壇……。
「お兄ちゃん」
ハルが何か分かったような顔をして俺に声をかけてきた。
多分俺と同じ考えに至ったんだろう。
ハルには前に俺の事を話したことがあったから。
「多分それだね、ハル」
「えぇと……どういうことなのかな、ハク君」
「1度ギルドに行ってから話しましょう」
俺にとって大事な話なのでギルドハウスで全員に話すことにした。
まさかまさかのバグ!?!?