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FreedomWorld  作者: 豚野郎
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心をへし折るには力の差

そんなこんなで勇者様とPVPをすることになりました。


「ハル、ごめんな。 いきなりあんなことになっちゃって」


俺はハルに謝る。

勝手に勝負の賭け事に連れ込んでしまったから。

それでもハルは笑顔で顔を横に振ってこう言ってくれた。


「なんで謝るの? お兄ちゃん勝つから何も心配してないよ? それよりこれが終わったらデートしてね」


「おう、任せろ。 好きな物買ってあげるよ」


「やったー!」


他のメンバーはそのやり取りを見てほっこりしていたのか雰囲気が柔らかく感じたがマイルだけ焦りを感じた。


「どした、マイル」


「いやいやいや、ちょっと待ってよ……僕とも……そ、その……で、デート……し、してくれるかな?」


「今回はハルを勝手に勝負の賭け事に持ち込んだからこうしてお詫びしてるだけだけど?」


「そ、そうだよね! ……やっぱりダメかな……?」


最後の方はよく聞き取れなかったな。


「安心しろよ。 今度一緒に狩り行こうぜ」


「うん!!! 約束だよ!!」


「はいはい」


結局何が言いたかったのか……全くわからん。


「主、ただ勝つんじゃなかろう?」


「リオン……当たり前だろ。 徹底的に痛めつけてやる」


「それは良いのう。 ところであのオレンジ娘を貰うとは?」


「あぁ、前のイベントでいい戦いっぷりを見て欲しくなったんだよね……ウチの戦闘構成にハマるなって思って」


「それは……そうじゃな! いい考えじゃ」


「だろだろ!! そろそろか、行ってくるわ」


「ぶっ飛ばしてこい、主」


リオンと他愛もない話をして準備画面を開いた。

下の方に準備OKボタンがあったので早速押す。

相手は既に押しているのか分からないが俺が準備OKしたらすぐにカウントダウンが始まった。


ー3・2・1・試合開始。


勇者様は試合開始直後にスキルを使った。

光の女神だか何だか知らないけど勇者専用スキル。

あの後マイルが調べてくれたんだよね。

確か数分間全ステータスを2倍にして最後に剣に力を纏わせて必殺技か何かを撃てるらしい。

イベントの時は必殺技撃つ前にマイルにボコボコにされたから見てないけど。


勇者様はスキルを使ってすぐに俺に真正面から走ってきた。

今回は避けたり色々してもいいんだけど……徹底的に心をへし折ってやりたいから、手も足も出ない状況を作りたい。


初手から水鏡でも使うかな。


右手に持ってる片手剣は何の芸もなく上から斜めに振り落とされる。

振り落とされる前に1歩近づき右手首を棒で小突く。


水鏡の基本はこれだけだ。

難しいことをしている訳じゃないけど、相手の攻撃に合わせる反応速度、正確に相手の攻撃の元になっている所を攻撃する精密力があれば誰でも出来る。


手首を小突かれた勇者様はお腹がガラ空きになりました。

はい、そこに前蹴りと。

威力は抑え目で蹴ったので2.3歩後ろによろめくだけで終わった。

追撃しようとフェイクをかければ、攻撃されると思って左手に持ってる盾を自分の前に出そうとする。


でもそれも許さない。

左の手首をさっきと同様に小突いてすぐに叩く。

痛かったのか盾を手から一瞬離した。

そこを狙って盾を適当に叩いて遠くに飛ばす。


ムカつく顔が現れたもんで咄嗟に棒で右頬をぶってしまった。

いやぁ、ついつい……てへ。


それでも諦めずに上から真下に剣を振ろうとしてたから逆に棒を下から上に振ってあげれば剣はあさっての方向に飛んでいった。


お腹に向かってバットをフルスイングするように棒を当てる。

くの字になった所を足裏で顔を下から上に毛飛ばせば勇者様の体も宙に浮いた。

すぐに決着が着くのは嫌なのでHPポーションを投げつける。


「な、なにを」


答えてあげる義務はないので無視して勇者様の剣と盾をそばに投げた。

挑発された事を理解した勇者様は剣と盾を手に取りスキルを使った。


「【スカイスラッシュ】」


棒で正面から受けきった。

スカイスラッシュは囮だったのかすぐに近くまで走ってきて違うスキルを使った。


「【スラッシュ】【ダブルスラッシュ】」


まずは上から下の斬撃。

次に斜め十時の斬撃。

受けるのも面倒になったから避けた。

1歩右にずれて初撃を回避した後に空中で体を捻って横回転することでダブルスラッシュも避けきった。


横回転して避けた後にそのまま勢いを使って勇者様の顔に蹴りを入れた。

地面に着地した瞬間に左回りで胴回し蹴りを放った。

後ずさった所に飛び蹴りをすると吹っ飛び地面をゴロゴロと転がった。


それでも立ち上がろうとした勇者様の顎を下からフルスイング。

気絶状態になったところにHPポーションを投げて蹴りを入れる。


蹴りを入れれば気絶状態が解除された。

そうして何度も叩き、蹴り、気絶させて、回復させる。


何度も何度も繰り返して行くうちに心は折れて立ち上がることすらしなくなった勇者様。


「こ、こうさんする……」


「する?」


「こうさんします……ごめんなさい」


「次はないからね。 勇者だか何だか知らないけどさ、強くなってからいきろうか。 強くもないのにデカい態度取ってもね、恥ずかしいと思わないの?」


勇者の背中に腰を下ろしながらそんなことを言う。


「じゃあシーンに声掛けてくるから」


「そ、それは……」


「だから言ってるだろ、シーンがこっちに来たいならそうする。 そうじゃなければ今のままだって……安心しなよ」


ー試合終了。

勝者、ハク。


試合終了のアナウンスが流れた。

俺はそのままシーンの前まで歩いていった。


いざシーンの目の前に立つとなんて言ったらいいか分からなくなった。

シーンもいきなり賭けに持ち込まれたわけだし……うーん。


「ねぇ」


どうやって声をかけたもんかと思ったらシーンの方から声が掛かった。


「どした?」


「もっと強くなって楽しくなりたい」


「……うん」


「琥珀君に着いてったら強くなれるかな?」


「そりゃ…………え?」


「前々から聞いたことがある声だなって思ったんだよね……今回で確信したよ、琥珀君」


「バレちゃったか……残念」


「じゃあお別れ言ってくるから待ってて」


「あいよ」

ハク君勝利〜!!!


勇者君はどこまで行っても自己中なのです

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