ギルド全員出動です
「ハクー!!!」
自室でお茶を飲みながらゆっくりしていた俺に慌てて声をかけてきた者がいた。
マイルだ。
「慌てなさんな、どうしたの?」
「第六の街開放されたらしいよ」
「ほえー……あの2連続ボス倒せたんだ」
「倒したのは勇者パーティらしいんだけど、そこは重要じゃなくて第六の街にあったとある物が重要なんだよ!」
「とあるもの?」
「祭壇だよ!」
「祭壇? 祭壇がどうしたっていうのさ」
「聞いて驚かないでよ、その祭壇はレベルキャップ解放する祭壇なんだよ! 僕達は今99までしか上げられないけどその祭壇を使えば150まで上げられるらしいんだよね」
「それはいいね、早速上げに行くか。 みんなはどうするんだ?」
「もちろん今回はギルド全員で行こうよ!!」
俺とリオン、マイルは第五の街まで解放していることは知っていたけど他の人はどうなんだろうと考えていたら、マイルが俺が考えてることが筒抜けなのか答えてくれた。
他の5人とも既に第五の街まで解放しているらしい。
何となくそんな気がしてたんだよね。
第四の街から第五の街に行くためにはあのゴリラを倒さなきゃならない。でも生産職5人はバランスの取れたパーティだし装備はルイン製、回復系のポーションはセシル製で俺とリオンが戦闘面で教えてる部分もある……そこから考えると突破していてもなんらおかしいことは無い。
「みんな下で集まってるから早速行こうよ」
「そうだな、じゃあ行くか」
そう言ってマイルと俺は階段を降りた。
広間には全員か集まっていて賑やかにしていた。
「待っておったぞ、主」
「おせーじゃねーか、ハク」
「お兄ちゃん、いこいこ」
「ハク、忘れ物はないかしら〜」
「ハクさん、行くっすよ!」
「ハク、行こう!」
「みんな……」
「ハク君」
「アルカさん」
「お姉さんの努力ちゃんと見ておくれよ〜」
「はい、わかりました」
こうして俺たち【高天原】は第六の街の解放を目指した。
とはいえだ。
俺たちってみんなLvカンスト組な訳だが、第五の街から第六の街までの道のりが難しいはずがないんだよね。
火山の攻略は中ボスのドラゴまで難なく進んだ。
ードゴッ!!
ルインの盾にぶつかったドラゴの尻尾は鈍い音を立てた。
尻尾を見事受け止めたルインだったが衝撃を受け止めきれずに後方に吹っ飛ばされた。
「いてて」
「ルイン大丈夫?」
「問題ないっすよ!! でもアレっすね」
「私たちじゃ難しいかもね」
いつの間にか俺の隣にアルカさんがやってきてそう言う。
「生産経験は豊富ですけどまだ戦闘経験は浅いですからね。 でもここまでやってきたのは生産職チー厶のみの力ですからね……俺はすごいと思いますよ」
「いやーハク君にそんな事言われると嬉しいな〜」
「ルイン」
「はい!!」
「マインが魔法撃つからそれまでタンクしてあげて。 あと他の人を下がること伝えてきてもらっていい?」
「任せてくださいっす!」
ルインは笑顔で元気よく返事をするとすぐに前線に走っていってタンクを務めた。
ルインが先程吹っ飛ばされた事から経験を活かして、次は吹っ飛ばされないように腰をしっかり落として全身で受け止めるようにしていた。
ルインが安定したタンクを務めてる隙に他のみんなが後方に下がってくる。
「ありゃまだ俺らの実力じゃダメだな」
戻ってきたジークがそう呟いた。
ただこの発言は諦めたという事ではなく、今の実力だと不相応だと自分たちの実力を過信せず認めているからこその発言だった。
なんとなくその発言を聞いて嬉しく思ってしまう。
「まあまあ、まだ戦闘経験浅いし本職じゃないんだから……ここまで来れた事が既に凄いことだよ」
「ありがとな、ハク」
俺が褒めるとジークは照れるのを隠すようにそっぽを向いて頬をかいていた。
その行為を見てちょっとだけにやけてしまった。
「マイン、いける?」
「もっちろん! 任せてよね」
マイルは第1回イベントから修行を積み重ねて新しい魔法を習得したようで、今回はその新魔法を見せてくれるらしい。
マイルから合図が出ると俺はルインに声をかけて後方に下がらせる。
「ルイン、戻っていいよ!」
「了解っす!」
ドラゴの爪の攻撃をしっかりと受け止めてすぐに後方に下がってきた。
「受け止め方良くなってるじゃん」
「ハァハァ……そんなまだまだっすよ」
ルインは戦闘で疲れていて息も絶え絶えだった。
着実にルインも育ってきてる事は凄く嬉しい事だった。
「それじゃあいっくよー!
色々設定はあるんだよな………点と点があるだけで、線で繋がらないです……すびばぜん!!