勇者の力
「勇者の力か……リオン、どう思う?」
「うむ、そうじゃのう……そういえば昔の話なんじゃが、勇者と呼ばれる者が存在したんじゃよ。 それで勇者と呼ばれるその者には光の女神アグリア様が特別な力を授けたという話があるんじゃったのう」
「もしかすると、もしかして?」
「そうじゃのう……アグリア様に認められし勇者なのかもしれんな」
女神か……俺はダメだったんだけどな、勇者君はいいのか?
なんだかモヤモヤするなぁ……なんで俺はダメだったんだろう。
(私はいつまでもハクを見てますよ)
「サクヤ!」
「む……主どうかしたか?」
「あ……いや、なんでもない」
今サクヤの声が胸に響いた気がする。
でもそっか……サクヤはずっと見てくれてるんだ……サクヤ、ありがとう。
いつか会えるように頑張るよ……サクヤ。
さて、気を取り直してマインの試合を見よう。
勇者君は虹色のオーラを放ってから身体能力が著しく高くなってる。
倍加してるかな……。
それでもマインは大杖に乗って浮遊しながら回避したり魔法を使って翻弄してるみたいだから負けることは無いかな。
「【スカイスラッシュ】」
勇者君が飛ぶ斬撃をマインに向かって放った。
「【スカイスラッシュ】自分のAGIによって飛ぶ速さが異なるスキルで威力はそこまででもないっていうスキルだね。 もちろんそのスキルが飛んでくる可能性も僕は考えてたよ」
マインに当たる直前に水の壁が出てきて勇者君のスカイスラッシュを打ち消した。
残った水の壁は矢に形状変化して勇者君目掛けて撃たれる。
盾を目の前に張る勇者君だがマインはそれを許さない。
「やっぱりちまちまやっても仕方ないよね……土よ」
そう言うと勇者君の目の前で土で形成された大槌が現れた。
そのまま大槌は大きく振りかぶって勇者君にぶつかろうとしていた。
「それなら後ろに……っ!?」
後ろに下がろうとした勇者君だったがそれは叶わず。
マインの氷で足を固定されていた。
盾も間に合わずに大槌で大きく吹っ飛ばされた勇者君だったがマインは追撃をした。
氷の槍、火の槍、土の槍、風の槍、雷の槍、水の槍の6本をゆっくりと勇者君に刺していった。
「俺はこんなところで!!」
「負けるよ」
「なっ!?」
「実力の違いも分からないの? 女神様の力を使っていてもそのざま……恥ずかしくない? 勇者と呼ばれて調子に乗っちゃった? 本当に頭が足りてないから教えてあげるけど、君は弱いの……実力もなければスキルを上手く使う頭もない……まぁ僕にはどうでもいいんだけどね」
「お、おれは……」
「バイバイ」
ーザスッ!!
槍が勇者君を次々と刺して終わった。
マインが転移して準々決勝はこれにて終了。
「ハクーどうだった!」
「おつかれ、マイン。 いい試合だったね、見てて楽しかったよ」
「えへへ、嬉しいな」
「次はリオンとやるのか、頑張ってな」
「マインにはまだまだ負けんぞ」
「僕だって頑張るもんね!」
「2人とも楽しむんだよ」
「「わかってる!」」
そうして2人とも転移した。
勇者くんは1人の女神様に愛されてる様子