本戦1試合目、決着
「俺、スキルないから全然いいよ」
俺が棒でイールさんの刺突を受け止めると、イールさんは驚いた表情をしていたのが面白かった。
「君は事ある毎に顔を狙ってきてるからどうせまた顔なんだろうと分かってたよ。 ちょっとは狙う場所変えようか」
「【シールドバッシュ】」
イールさんがそう唱えるとバックラーで力押しをしてきた。
俺が後ろに飛んで距離を取ったが、それが狙いなのかすぐに近くにやってきては左から右に直剣を振られる。
上半身を後ろに逸らして避ける。
今のはフェイントだったのかすぐに左下から右上に振り上げられたが、次はバク転をして直剣の間合いから外れる。
距離を取ると同時に棒を背中に隠す。
背中の上から棒を引き抜く動作をするのと同時にファントムをかける。
直剣から大剣へと変わった姿を見てイールさんは困惑していた。
「ど、どういうことなんだ……?」
「攻撃受けたら分かるよ、きっとね」
棒を思い切り投げた。
イールさんは当たらないようにジャンプして壁の上に立った。
棒はイールさんが居た地面に突き刺さっていた。
そして素手になった俺を攻撃するチャンスだと思ったのかすぐに距離を詰めてきた。
「どんなスキルか分かりませんが、武器を投げるだなんて余裕ですね」
「そうでもないさ」
上から下、右から左、右上から左下、左上から右下、顔を狙った刺突を一通り避け倒れは次は素手の受け流しをやってみようと試みた。
左上からの振り下ろし。
川の如く、それは自然であること。
水が川で流れていることに何の違和感も湧かず、それは当たり前だと思うことと同じ。
ただ俺の身体に当たらず、俺の身体に沿っていき直剣は後ろに流れた。
イールさんも確実にやれたと思っただろう。
だけど、当たってない。
「なっ!?」
「残念だったね」
がら空きになった背中を蹴り飛ばす。
吹っ飛ばされたイールさんは地面を転がった。
「いやぁ〜俺も初めてやってみたからちょっと失敗したよ、ほらここちょっと切れてる。 練習あるのみなんだよね、やっぱりさ」
「私は……私は……それでも最強でないと示しがつかないんだ! 風よ、私に力を。 【アイオロス】」
アイオロス……確かギリシャ神話にあった風の神の名前だったね。
黄金の髪が靡く。
まるでイールさんから風が発せられてるかのようだ。
多分、推測するとあれから成る行動は……。
目の前にいたはずのイールさんがいつの間にか後ろにいた。
「今までの私だと思わないでください」
「いや、今までの君と同じだよ。 何も変わってない」
確実に早くなった剣を意図も容易く受け流す。
先程回収した棒で右から左に振って隙ができた顔を殴打する。
「正々堂々すぎる。 もっと狡さを学ぶべきだよ」
そこから決着がつくのは早かった。
攻撃の隙を与えずに次々に棒で殴っていけば、素のSTRも高かったのと棒の攻撃力のおかげでイールさんの体力はみるみる減っていった。
最後は地面を背中に倒れたイールさん。
「強くなりたいならもっと学ぶ事があるはずだよ。 そりゃあ初心者を手助けしたり色々やるのが悪いとは言わないけど……俺の前で強くなるとか言うなよ、そんなんで」
頭を棒で突いた。
ーグシャリ。
『第1回戦目勝者ハク!!』
勝敗が決まると俺は転移した。
歩いてみんなの所に行く。
「「「おめでとー!!」」」
みんなが1回戦目勝ったのを祝ってくれてめちゃめちゃ嬉しかった。
「ありがとう!」
「いやぁ〜すごい試合だったね」
「俺もワクワクドキドキしてたぜ!」
「お兄ちゃん、すごい!」
「やはり主は強いのう」
「か、かてるかな……」
「ワタシも見てて楽しいわ〜」
そこからワイワイと話しながら次の試合を待つ事数分。
次の試合が始まる。
コロッセオに現れたのは勇者君とテイマーの人だった。
「君のポケ〇ンゲットだぜ」
………おい。
二つ名が付いてる人は一般プレイヤーが10中3だとしたら8位の強さではあるよ
主人公が異様に強いだけだよ
お前のポケ〇ンゲットだぜ