agriculture fantasy
「2連続ボスかよ」
「しかもだよ、その次は蛇型のドラゴンっぽいのでさっきのドラゴよりも体力は多いし威力は高いしで、数分持たずにやられちゃったみたいなんだよ」
「面倒くさい中ボスクリアして待ってるのはそれか……酷い話だよ」
「だから攻略は当分時間がかかるっぽいよ。 そもそもドラゴで疲労困憊らしいからね……そこからのボス戦なんて最悪極まりないよね」
「だろうな……てか、今のプレイヤー達のレベルって上限いってないの?」
「まだ99いってるプレイヤーいないらしいよ。 どのくらいだったかな……60とかだったかな」
結構低いのな。
始まってもう2ヶ月くらい経ってるのかな……なのにレベルあんまり上がってないのは結構驚きだな。
とはいえ道中の魔物でレベリングって言ってもな、なかなか経験値美味い魔物なんてそうそういないだろうし……金コボルドとか美味しいイメージだったけどね。
俺やリオンは運び屋で経験値貰ったし、舞音に関してはチュートリアルマップの外でレベリングしてる訳だから例外だよね。
「さて、学校にも着いた事だし授業に集中しなきゃね」
「なんでそんなにやる気いっぱいあるんだよ、舞音」
「僕結構学校好きなんだよね、それに今は友達が横にいてくれるから、めっちゃ楽しいよ」
「へいへい、ありがとね」
「今日は化学からだね」
「今日も頑張るか」
学校が始まってしまった。
担任が教室に入ってきてホームルームを始めて一言二言告げて教室を出ていく。
少し時間が経って化学を担当してる先生がやってくる。
「挨拶は不要だ、お前らに私が授業をしてやろう」
こうして学校が始まった。
「もう疲れたよ」
「まあまあ、終わったし今日は金曜日だから土日休みだよ」
「おぉ、それはやったぜ。 もう1回夏休み来ないかな」
「ルインも同じこと言ってたよ」
舞音はそう言って少し笑っていた。
確かにルインに関しては本当にご愁傷さまって感じだよね。
学生にとって夏休みはとても貴重なのにそれを風邪+インフルエンザなんて……気の毒だよ。
「このあと家に帰ったらすぐFWするの?」
「いや、ちょっと他ゲーでもしようかな」
「わかったー」
「じゃあ、またな」
「うん、またね」
家に着いた俺はうがい手洗いを済ませて部屋着に着替える。
そしてすぐにヘッドギアを被ってゲームにログインする。
ー【agriculture fantasy】を起動します。
モードを選択してください。
リアルモードを選択されました。
【agriculture fantasy】
畑1面と畑の真ん中にみすぼらしい小屋がひとつ置かれた状態で始まる異世界農業ゲーム。
異世界とは言っても人参やら玉ねぎやらは普通にある。
マンドラゴラとかもある。
地球産・異世界産の野菜を育てるのもよし、牛や豚、鶏等の酪農を選択するのもよしといったのがこのゲームのいい所。
そして自分が育てた牛や豚、野菜たちを売ることも楽しい要素のひとつだ。
一定の期間で商人が畑にやってくる。
その商人と自由に話せる。ということはつまり交渉も自分でやるというゲームだ。
自分の話術1つで高値で売れたりそれこそ最低の値段で買い叩かれたりもする。
野菜や肉等の生産ランクも交渉には重要なシステムでランクが低ければ低いお金で、ランクが高ければ相当高いお金が支払われる。
ランクはSSS・SS・S・A+・A・A-・B+・B・B-・C+・C・C-・D+・D・D-・E+・E・E-・F+・F・F- がある。
結構細かいランク分けがあるのは土の性質、肥料、餌、環境などの様々な物から来るそうで、例えば野菜にあげる水を少しでも間違えれば1発アウトでランクを落とされることもある。
このゲームは楽そうに見えて全く楽では無いやり込み要素が詰まってる神ゲーなのだ!!
「さて、まずやることは井戸の水を発掘するところからだな」
畑を耕せ?バカヤロウ!!
このゲームはな、畑を耕すよりもまず水を使えるようにしないといけないんだよ!
いや、お金が貯まればそれで解放できるんだが、小屋に置いてあるツルハシで掘れば無料で解放できるんだよ!
これをするだけで序盤はいい感じに進めて尚且つお金も貯まりやすい。
「というわけで、ここ掘れワンワン!!」
おで……ぶた……農業……やる