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ヒロインなのに婚約破棄されました

作者: 椎名聡里

乙女ゲーモチーフの作品書いてみたかったので、短編を勢いで書きました。

「ヒロインなのに婚約破棄されました」のタイトル通りのお話です。


ヒーローが魔王です。

「婚約を破棄する!」

婚約者のテンプレのセリフで始まった卒業パーティー。


その瞬間に記憶が流れ込んできた。

(あ、これ前世でやった乙女ゲーの世界だ)


婚約破棄されるのは悪役ライバル令嬢のはずなのに。むしろ、それなら異世界転生ものの小説なんのかテンプレで、早めに記憶が戻れば、婚約回避や婚約破棄回避のために努力するってパターン。とか


破棄寸前に記憶が戻るパターンなら、その後、前世の知識を駆使してたくましく生きていく。とか、そういうのじゃないの?


でも、私、悪役ライバル令嬢じゃない!!!


そうそうにライバル婚約者侯爵令嬢を差し置いて、下町から下級貴族の庶子として貴族社会に回収されて、メインヒーローの王子さまの恋人になり、婚約者に既に成り代わったヒロイン役ですよ私。


展開が早すぎたせいで、卒業パーティーで婚約破棄されるのがヒロインになってしまったバグ?


とかなんとか、過去の記憶との混濁で頭の中が、てんやわんやしている、私の前に現れたのは件の元婚約者ライバル侯爵令嬢。豪奢な美貌のライバル令嬢は、しおらしく王子さまの隣、半歩後ろに控えている。


「私が犯した過ちを彼女は『許す』と言ってくれた。

 この半年の出来事は私にとって悪い熱病にでも罹ったような悪夢だった。

 お前が、悪性の魔術を使う魔王の手先だとつい先ほど判明した。

 次世代の王たる私を篭絡し、この国を貶めるために送り込まれたのだろう?

 魔王のもとに逃げ帰られては困る。捕らえよ」


魔王!?

あー、シークレットキャラで居ましたね。

一度、全キャラクリアした後でしか、出現しない。


その、セーブデータで、メインヒーローエンドに進んでる分岐で、奪いに来る設定の、ヤンデレ魔王。

でも、そのルートにもヒロインが婚約破棄なんてイベントなかったのに。


「ふはは! このアリアドネは私のもの。お前などに、捕らえさせたりしない」


わー、魔王キターーー!

魔王ルートはやだなーと思っている、私の意志は完全無視です。

因みに婚約者には、なっていたけれど、私の推しは王子様ではなく、クーデレ属性な、その近衛騎士です。


まさに、その推しに、王子の命により捕らえられそうになっていた、その直後、私は宙に浮かんだ魔王の腕の中に居た。


「来たな魔王何が目的だ。この国の滅亡か? 占拠か?」

自身も剣を抜き、真剣な表情で魔王に対峙する王子さまに対し、魔王の言い放った言葉は


「あーそういうの興味ない。俺、アリアドネが居れば、他には何も要らないから。

 邪魔しないでね? 邪魔する奴は全部排除するから」

そう、魔王は自身も引きこもりの監禁系ヤンデレ。


コレ(魔王)に捕まるのと、推しの近衛騎士に捕らえられるのと、どっちがマシかなーと考えても、私に選択権はない。


推しの近衛騎士に捕えられたら、幸せは気分は一瞬で、後は多分ずっと地獄だと思うけど、現実逃避したくなる気持ちを、分かって欲しい!


何故なら、魔王最強だから。そして魔王城へ、瞬間転送。


「アリアドネ。やっとこの手に」

あーもう溺愛ルート確定状態です。真紅の瞳が蕩けそうな輝きで、見詰めています。


「あの、質問です」

無駄だとわかっていても聞きたくなるのが人情。思わず挙手。

「なんだ?」

「魔王、あなたはなぜ私を見初め、ここへ連れて来ようと思ったのですか?」

乙女ゲーでも、魔王の行動原理はイマイチ解説不明で、一種のメリーバッドっぽかった。

ここは是非とも、ご本人に意見を聞いておきたい。


「アリアドネ、お前がこの世に生まれた時から、俺はこの手に抱く日を心待ちにしていた。

 過去の記憶が蘇っただろう? その記憶毎がお前の全てであり、完全となる日、今日を待っていたのだ」

「おっしゃる意味が分からないのですが、何時、どこで私の存在を知ったのですか?」

「お前がこの世界に生まれ落ちた瞬間に、俺の愛しい存在を確認した」


「あー、魔王のチート能力ですか。会ってもいないのに存在確認って。更に前世の記憶までご存知とか」

「そうだ。チート? とやらはわからんが、16年この日を、

 いや、お前が生まれる前から、いつの日か現れるはずの愛しい存在を、心待ちにしていたのだ」


「では、確認しますが、この世界では割と可憐な美少女の外見ですが、中身は

 前世モテないオタク女子で、活字中毒、ゲーム中毒の、辛うじてニートではない、引きこもり在宅ワーカー。異性とお付き合いしたことない歴=年齢のアラサーと、ご存知の上で、込み込みで好きだとおっしゃるのですね?」


「前世が30年ほど付加されようと、たかだか50年以下のこと、何百年と生きている俺には、誤差レベルだ」

「ちなみに、私、普通の人間の寿命で長くても、あと80年ほどしか生きられないと思いますし、最後は、しわくちゃの老婆になりますよ?」


「わが伴侶には、永遠の命が宿る」

エンドレス監禁、メリバやだな。いくら魔王イケメンでも、自分の事棚上げするけど、引きこもりだし。


そうは思っても、最強魔王に対して、ヒロインは成す術も無い。

逃れるとか、そのために自死とか以ての外。なんたって永遠の命、死ぬことすらできない。

出来るのは精々なんらかの、多少の懐柔策を考えるくらい。


あれ? え? ちょっとまって、永遠の命の宿る伴侶って、何時なるんだっけ?

さすがに今の口頭宣言ってことはないでしょ?婚姻の口づけとか初夜の契りとかなんか発動条件あるはずでしょ?


「はい、質問です」再び挙手。

「なんだ」

「私が永遠の命となるのは何時からですか?」


「今、この時よりアリアドネを、わが伴侶とする」あれ? やっぱり宣言制?

と、疑問符を浮かべてる間に、がぶりっと首筋に噛みつかれた。吸血鬼か? 魔王じゃなかったの?

「儀式は終わった」

あ、自爆で永遠の命、早めたやつだ、これ。


そっかー、それなら、もーヤケだ。なんとか少しでも、快適な引きこもり生活を目指す。これしかない。

「では魔王様! 私にお名前を教えてください」

「正式な我が名はたいそう長い。一度で覚えられるか?」

寿限無寿限無的な? 無理です!


「魔王様が、私に呼んで欲しい名前で、お願いします」

「では、ルシフェルと」

わー、分かりやすく堕天使なお名前ね。

「はい、ルシフェル様」


「アリアドネ、愛している!」

わー! 

いきなりトップギア!

「わー! ストップ、ステイ」


「あの、ですね! 私の常識と、ルシフェル様の常識は、相当違うと思いますので、まず、お互いの理解から、そう! お友達から始めましょう。根本的な所で言うと、自分が伴侶と選んだらからといって、私がルシフェル様を好きになる、とは限らないという事を、まず認識してください!」


たぶん、アリアドネの絶叫は、魔王に伝わらない。

【設定】

ヒロイン アリアドネ(現16歳子爵令嬢・ストロベリーブロンド菫色の瞳 元アラサーオタヒキ在宅ワーカー)

魔王 ルシフェル(???歳 漆黒の髪・紅玉の瞳)

王子(金髪碧眼)

侯爵令嬢(金髪碧眼)

近衛騎士(濃紺の髪に灰色の瞳)

あと3人くらい攻略対象がいるはず


続きです。

【続】ヒロインなのに婚約破棄から、監禁されました ~魔王様の溺愛~

https://syosetu.com/usernovelmanage/top/ncode/1984567/

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[良い点] 快適なテンポに、軽いノリ。結婚生活は楽しそう!! ?
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