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side奈津 超面白いんだけどっ

◇◇◇◇◇

「……ふぅ」


 アタシはゴンが半年以上入院している病室に着くと、彼のベッドに腰掛ける。半年も経ったっていうのに相変わらずゴンには嫌われてばかりだな。気が滅入りそう。ってダメダメ。アタシはパシンッと両頬を叩きつける。冬の冷たさと合わせて痛みが伝わってくる。


「アタシの考えてたのとは違うけど、バレちゃったからには好きになってもらえるよう……頑張らなきゃ」


 でも今のアタシをゴンはどう思っているんだろう。態度を見る限り、好かれてないって事は確実だろうけど。喋れないって相当辛いだろうな。アタシがそんな事を思っているとガラガラッと扉が開く。


「早かったわねゴ、ン……」


 そこにいたのはゴンではなく


「どうも……。さっき振りかしら」


 そこにいたのは藜志と小学2年からの付き合いだという永嶋霧華がいた。


「ど、どうしてここに?」

「それは、まぁ……。アイツが元気無かったから」


 少し顔を赤らめながら言う霧華に納得する。アイツとは藜志の事ね。っていう事は藜志も来てるのかな?


「でも久川さんもどうやら元気ないみたいね」


 アタシは霧華の事を凝視する。アタシが元気ない?


「どうしてそう思うの?」


 問い掛けるアタシに霧華は真っ直ぐにアタシを見据える。その瞳には冷静さが窺えた。


「だって思い詰めた表情をしてるもの。いつも冷めた顔をしてるくせに」


 アタシはいつもそんな冷たい印象なの? 確かに自分やゴン以外余り興味はないけど。後弟である藜志とパパくらいか。でも驚いた。なんだかんだ言ってアタシの事を見てくれてるんだ。ありがとうと言おうとしたら、霧華がアタシの顔前まで詰め寄ってくる。


「な、なに?」


 少しでも前に顔を動かせば唇が触れ合う距離にアタシは後ろに仰け反りながら問い掛ける。霧華は真剣な表情で


「アイツ……れっ、藜志君とは……恋人、なの?」


 ああなんだそんな事。アタシはクスッと小さく笑みを零す。それを見て霧華が顔を真っ赤にする。どうやら、アタシと藜志が付き合ってると霧華は勘違いしてるみたいね。


「安心して霧華。藜志とアタシは双子の姉弟だから」


 アタシの言葉に霧華は目を丸くする。まぁ確かにそうなるわよね。似ても似つかわないし。


「姉弟……?」

「ええ。小学1年の終わりに離婚して離れ離れになったけど」


 それを聞いて霧華は安堵の息を吐いたかと思うと納得したように頷く。


「だから転校してきた時藜志君、あんな寂しそうな目をしてたのね」


 うん。小学1年まで一緒だったけど藜志は泣き虫だったからね。それにしても


「藜志君……ねえ」

「……うっ」


 アタシの言葉に霧華は、ぽっと顔にうっすらと朱を差させたかと思うとみるみる内に真っ赤になる。可愛い。なになにっこの子超面白いんだけどっ。


「わ、私の事はいいのっ。それより貴方のことよっ」


 恥ずかしさを紛らわすように大きく喚くとズビシッと音が立ちそうな程強く人差し指がアタシに突き立てられる。誤魔化したわね。可愛いから許すけど。


「いったい、何があったのよ?」


 さっきまで慌てていた顔が真剣なものへと変わる。アタシは霧華に話してみる事にした。藜志を好いているこの子だったら打ち明けてもいいかなと思って。


「うん。実は……」


 アタシはこれまでの事を話した。ゴンとアタシは小学時代に出会っている事。そしてアタシにとってゴンは親友だった事。そして……その親友をアタシが切り捨てる事になった経緯も。


「そんな事があったんだ……」


 その話を聞いた霧華はどこか遠くを見つめるような目をアタシに向ける。 


「私ね。龍君が一心不乱に土下座して謝ってる話を聞いたの。それで少し気になって話しかけたんだ。昔の自分と似てるなって思って」


 霧華のそんな話を聞くのは初めて。今と違う彼女なんて全く想像がつかない。


「小学校の頃なんだけどね。その頃のアタシは今よりオドオドして地味で暗い。そんな感じの子だった」


 そう言った霧華の顔は悲しそうに見えた。でも次の瞬間、幸せそうな笑みを見せた。キラキラとしていて、少し羨ましい。


「でもそんな時藜志と出会ったの。藜志はアタシを変えてくれたの」


 嬉しそうに目を細くするその仕草にアタシは嬉しい気持ちになる。こんな真っ直ぐな子に藜志は好かれて羨ましいな。アタシもゴンの事それぐらい純粋に想えれば良いのに。アタシはそんな事を思いながら、窓から見える外の景色へと目を向ける。外は1面雪景色に包まれていた。チラチラと舞う雪をアタシは寂しい思いで見つめた。

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