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side奈津 当然だよね

◇◇◇◇◇


 病室を出たアタシはその場で深い息を吐く。ここ1か月毎日ゴンの身体を吹いているとは言っても、やっぱり裸を見るのは恥ずかしい〜。


「うぅ……」


 意識しすぎかな? でもゴンも耳まで真っ赤にしてた。きっと向こうも同じだよね。

 でもアタシが6年前の女の子だって分かってゴンはアタシに憎悪の籠もった視線を向けるようになった。


「当然だよね……」


 アタシが逆の立場だったら多分そうしてたと思う。でもこれは当然のこと。それで挫けてちゃダメ。最近はそんな目でアタシを見てない。少しは認めてくれたって思って良いのかな。

 ゴンの世話をしてて楽しいって最近思えるようになった。ゴンの食事を手伝ったり、ゴンの着替えを手伝ったり……。同い年の男の子の身の回りの世話をするのって初めて。色々と新鮮。

 それにゴンの裸。よくよく見ると結構鍛えられてるよね。程よく付いてる腹筋。筋が出てた逞しい腕。依然大きいと感じた背中は凄く固くて……。あれが男の子の身体なんだ。


「――っ」


 なんかさらに恥ずかしい。アタシよく1か月やってこれたな。でも病室で目を覚ましてからゴンの身体は回復しない。意識はある。身体もゆっくりだけど、多少は動かせる。でもまだ言葉は喋れない。このままずっと喋れないんじゃないかって不安になる。

 でも多分……喋れるようになったら、開口1番にこう言うのかな。


――俺に2度と構うな、って。


 嫌だな。せっかくここまで関係が築けたのに。離れたくないなあ。それに、あの一件でアタシの事がバレてから関わり始めた頃に逆戻りしちゃった。なんとかしなきゃ。

 でもどうしたらいいのかな? ここまでアタシなりに精一杯やってきた。それで友達になれる所まで来られた。でもまたそれが逆戻り。しかも今度は、6年前の事が火種になってる。謝って済む問題じゃないし、時間が解決してくれるようなものでもない。だって、6年経った今でも……アタシもゴンも引き摺っているんだから。

 地道に頑張るしかない。何を? とは思うけど。取り敢えずはゴンの身の回りの世話をする。別に下心があってやってるつもりはない。ただゴンが回復するまでの間はそばに居てあげたい。あれ、これ下心に入るかな?

 とにかく今後もアタシはゴンの為になるよう動こう。そして小学校の頃のアタシじゃなくて、今のアタシを見て貰おう。自分が今どれだけ難しい事を言ってるのか分かる。失われた信頼を取り戻すのは、今まで築き上げてきた信頼以上にエネルギーを注がなくちゃいけないって。でもそれでも、アタシはゴンと一緒にいたい。

 アタシはそんな決意を抱きながら、病院の廊下を歩く。

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